なぜ新型コロナ「感染者ゼロ」を守ってきたボクシング界から初の陽性反応者(愛知県ジムの2人)が出てしまったのか?
JBC(日本ボクシングコミッション)は21日、愛知県内のジムに所属するプロボクサー2人が新型コロナウイルスのPCR検査を受けて陽性反応が確認されたことを発表した。ジム名、氏名は公表されなかったが、関係者の話では、チャンピオンクラスのボクサーではない模様。日本の国内のプロボクサーで感染者が出たのは初だ。 JBCによると、2人の感染者のうち、1人は医療機関に入院中で、もう1人は自宅療養中。同ジムは12日から休館しており、保健所の指導に従って、消毒を行い、濃厚接触の可能性のある選手、会員、関係者には、自宅待機を要請しているという。 2人の感染者に海外渡航歴はなく、感染経路は不明で現在調査中。JBCは「感染拡大を防ぐための最大限の対策を講じる」とコメントした。 JBCは新型コロナウイルス対策として3月3日に、全国のプロジムを束ねるJPBA(日本プロボクシング協会)と連絡協議会を設置し、その後、段階的な興行の中止要請などの新型コロナ対策を講じており、現在、5月末までの全興行の中止と、それぞれの自治体の要請に従ってジムの営業自粛を求めてきた。 またJPBAは、休業による経営打撃への救済措置として同協会に加盟している全国の282のジムに一律10万円の補償金を支給、また興行中止となったプロモーターには、会場のキャンセル代金として1興行当たり15万円を上限に補助することを決定していた。 Bリーグ、プロ野球、Jリーグ、大相撲とプロ選手の感染が相次ぐ中で、感染者ゼロを守ってきたプロボクシング界だが、なぜ今回、陽性反応者が出てしまったのか。 今回の2人の感染経路は不明のため原因はよくわからないが、プロボクサーの場合、チャンピオンクラスでない限り、私生活も含めた、外出自粛などのジム側の管理がなかなか行き届かないという側面がある。徹底した予防対策を行っていても、感染するほどの威力がある新型コロナだが、ジム側が、予防についてどう啓蒙していたのか、などへの疑念は残る。 今後、JBCとJPBAは、今回の感染経緯を詳細に調査して再発防止策を厳重に練り直す必要がある。 また今回、初の感染者を出したジムがある愛知県に関しては、当初、政府が7日に発令した「緊急事態宣言」の対象地域から外れており、愛知県がスポーツジムなどを対象に独自の休業要請を発令したのが16日。これら各都道府県による新型コロナに対する施策の濃淡も、なんらかの影響を与えたものとも考えられる。 そして、現在、懸念されているのが、今回の2人の感染者から、ジム内での濃厚接触者へ感染が拡大することだ。 ボクシングジムは「密閉」「密集」「密接」の“3つの密”が揃う、新型コロナの感染リスクが高い環境であるところが多く、帝拳や大橋ジムなどの大手ジムは、早々に全館閉鎖、活動休止の措置を取っていたが、JPBAの各ジムへの営業自粛要請は、強制力のあるものではなく、その営業体制についてはバラつきがあった。