無学年授業も導入、勉強は「教わるもの」から「自ら学びとるもの」へ! ~自律学習で先頭を走る横浜創英の挑戦~【前編】
学年を超えて学ぶ学校
横浜創英の新しいカリキュラムは、学びを学校内にとどめることなく、社会とつながることも意識しているそうです。確かに、社会に出れば年齢の異なる人たちと関わっていくわけですから、同年齢の人だけで授業を受ける「小学校~高等学校」という場は、社会とはかけ離れているように思います。 これまで述べてきたように、横浜創英の英語の授業では学年にかかわらず、学び方を選べるようになっています。そこでは自ずと異学年のメンバーと学ぶ環境が生まれます。 確かに、英検2級を持って中学に入学してきた生徒が、文部科学省検定済教科書の順番通り、学習指導要領の順番通りに、中1でアルファベットから学ぶのは時間がもったいないような気がします。反対に、中学1・2年生の教科書内容の理解・定着が不十分な生徒が、中学3年生の教科書で学ぼうとしてもわからないことだらけで、授業は苦痛な時間となり、英語がどんどん嫌いになっていくように思います。 個別最適な学びというと、習熟度別授業や少人数制授業のことと思われがちですが、これらも先生が事前にクラスを分けて指導内容や教材を決めており、生徒一人ひとりが内容を選択しているわけではありません。個別最適な学びのために先生がすべきこととは、生徒が走るためのレールを敷いて整えて走らせることではなく、生徒自身が学び方を自分で選択できる環境を作ることではないでしょうか。 横浜創英では、2025年度からの新カリキュラムで、中高すべての学年で「生徒主体の学び」を推進していくといいます。具体的には前期・後期の2期制にして、半期ごとに単位を認定します。必履修科目はできるだけ高校1年生に置き、自由選択科目を大幅に拡大します。自由選択科目を生徒が主体的に選ぶ中で、学年が混合する科目が生まれてくるという仕組みです。 例えば数学では、必履修科目「数学1」の認定を高校1年生の前期で取得できれば、高校1年生の後期から「数学2」に入ることが可能です。自分で選択した授業の中で、学年を超えた多様な個性や価値観と触れ合うことで、自己の強みや主体性を育んでいくイメージです。