無学年授業も導入、勉強は「教わるもの」から「自ら学びとるもの」へ! ~自律学習で先頭を走る横浜創英の挑戦~【前編】
学年を超えて「学び方」を選ぶ
新カリキュラムで大切になるのが、生徒自身の「学び方」です。横浜創英では、各教科の代表の教師からなる「学び方改革プロジェクトチーム」で、カリキュラム改編と学び方改革について、主に3点議論してきました。 Ⓐ画一的な教育から脱却して個を軸とした学び方への転換 Ⓑ実社会とつながる実学を軸とした学び方への転換 Ⓒ課題解決力を会得するための探究型を軸とした学び方への転換 Ⓐについては、生徒の「学び方」に大きく影響を与えるのが先生の「教え方」です。一斉教授型か、アクティブ・ラーニングか。黒板を使った授業か、ICT活用型の授業か。知識偏重型か、探究型か……。従来の教育界では教え方の手法を巡って対立を繰り返してきましたが、横浜創英では「教え方」は統一せずに、多様であったほうがいいと考えています。なぜなら、生徒自身が「学び方」を選ぶべきだと考えているからです。 一斉教授型が必ずしも悪いわけではありません。例えば、私たち大人が何かを学びたいとき、講義形式のセミナーに参加することがあるかと思います。プロ講師によるセミナーは、知識を効率的に学ぶことができます。生徒が学び方を選択するときに、自らこのような一斉教授型を選ぶならば、十分に「主体的な学び」といえます。 先生から学ぶ、オンラインで学ぶ、動画で学ぶ、AI教材で学ぶ、教科書や参考書で学ぶなど、手段を主体的に選んで学ぶことを横浜創英では「自律学習」として大切にしており、中学校の英語ですでにスタートしています。週5時間ある英語の授業のうち、2時間は学年を超えて学び方を選びます。具体的には、中1から中3までが同じ時間に英語の授業があり、学年にかかわらず学び方を選べる仕組みです。 学び方は学年ではなく教室で分けていて、現在は「先生から学ぶ教室」「友達同士で教え合いながら学ぶ教室」「個で学ぶ教室」「企業から学ぶ教室」の4つがあります。生徒たちは時間になると、自分が選んだ学び方の教室へと移動します。 例えば、過去形を学ぶ英語の授業を見てみましょう。「先生から学ぶ教室」では、まだ習っていない中1生も、復習したい中3生も受講しています。「友達同士で教え合いながら学ぶ教室」では、教科書の音読やスピーチなどを練習し合ったり、わからないところを教え合ったりしています。「個で学ぶ教室」では、AI型の教材やワークブック、塾の教材などを黙々と勉強しています。「企業から学ぶ教室」では、今年度は英会話教室やプログラミングを通して英語を学ぶことに挑戦しているそうです。