TG戦突然の7回降雨コールド決定に虎党からも批判の声
高代氏は、集中力がなくなっていたサンチェスをフォローできなかった大城のリードのミスを問題視した。マルテに死球を与えた後の大山への配球だ。 「雨でボールが抜けてマルテにぶつけた。大城は続く大山に対してもカウント1-1からサンチェスにインコースを要求した。サンチェスの心理としては、もうぶつけたくない。そこでインコースを要求されると、厳しいところでなく、ひとつ甘くストライクゾーンに投げたくなる。結果、甘くなって大山に打たれたが、大城の配球のミス」 高代氏の指摘通りにカウント1-1から大城はインコースに構えていたが、145キロのストレートはど真ん中へ。この時点で打率1割台の大山でも、さすがに打ち損じはしなかった。 続くサンズにも、三塁線を破るタイムリー二塁打を浴びたところで、原監督はサンチェスを引っ込めたが、2番手の大江も流れを止めることができず、この回、巨人は4失点。いつ雨でゲームがストップするかわからない状況の中、序盤で0-6と致命的なハンデを負うことになったのである。 ただ、同じ条件下でキレなかったのが西だ。 速乾性の土を入れて足元を固めるマウンド整備を納得いくまで何度も要求。集中力を最後まで保った。3回までパーフェクト。終わってみれば、5回に香月に許した2ランの2失点のみ。大量援護をバックに7回を一人で投げ抜き今季初勝利を手にした。 突然の降雨コールドが宣言された異様なムードの甲子園で、梅野と共にお立ち台に上がった西は、「天気がすごく悪かったので足場というかコンディショニングが難しかった。梅野がいいリードを引き出してくれたのでリズム良く行けたし序盤にたくさんの得点を取っていただいたので、少ない球数でなんとか長いイニングを投げることができて良かった」と、内容よりもリズム重視だったことを明かした。 矢野監督も「条件的には得点がちょっと多く入って、この雨でいろんなことで集中しにくいところだったが、(西)勇輝らしく丁寧に丁寧に投げてくれて、最後までいってくれたのは助かった」と評価した。 高代氏も「調子はよくなかったと思う。本来はグラウンダーピッチャーだが、フライが多かった。だが、先制してもらって余裕ができた。新型コロナの影響で巨人はメンバー落ちしていて、西は、梶谷、坂本、岡本、亀井の4人だけをマークしていればよく、上から見下ろしすような余裕を感じた。6連戦の初戦で中継ぎを一人も使わずに済んだのも大きかったと思う」と分析した。 最大のライバルである巨人との今季初戦を降雨コールドという幸運にも恵まれてモノにした。昨年は開幕カードで巨人に3連敗。結局、それが尾を引き2勝10敗とスタートダッシュに失敗したことを考えると7勝3敗で首位に立っている今季は最高の滑り出しである。 高代氏は阪神と巨人に「大きな戦力差を感じる」という。 「ここまでの戦いを見る限り投打共に阪神の方が上。阪神打線には、中野、陽川、中日戦でヒーローになった山本らバランスのいいバックアップが揃っているし、投手陣も先発に不安はなく、ブルペンも岩貞、岩崎、スアレスの3人が安定している。巨人は、現在、新型コロナの影響で選手がいなくなっているが、たとえ揃ったとしても阪神の戦力の方が整備されている。普通に戦えば阪神が勝つと思う」 今日の第2戦の先発は、阪神がルーキーの伊藤、巨人が畠。畠vs佐藤の近大の先輩後輩対決も注目されるが、巨人は”初モノ”に弱い傾向がある。