9回打ち切りで野球の何がどう変わるか…恩恵を受ける球団は?
今季のプロ野球は、新型コロナウイルスの感染拡大予防のための行政の営業時間短縮要請に対応するため、異例の延長戦無し9回打ち切りの特別ルールで行われることになった。昨年も延長10回打ち切りのルールだったが、さらに1回短くなることで野球は変わるのか。恩恵を受けるチームはどこか。元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏の意見を参考に考察してみた。
「早仕掛けでベンチワークが変わる可能性」
たかが1イニング、されど1イニング。 異例の9回打ち切りで野球が大きく変わる可能性がある。間違いなく引き分けが増える。昨年は延長10回に短縮され、セ・リーグで24試合、パ・リーグで16試合の引き分けがあった。2019年はセで7試合、パで11試合、交流戦で4試合だったから、大幅増。今季は、さらに増加するだろう。 球団別に昨季の引き分けを見ていると、セでは巨人8、阪神7,中日5,横浜DeNA6、広島12、ヤクルト10で最多が広島で最小が中日だった。広島は勝利方程式が崩壊、最後まで抑えが確立できず土壇場で追いつかれて引き分けで終わった試合が目立った。逆に中日は福、祖父江、マルティネスの勝利方程式が確立されていた。 一方のパでは、ソフトバンク5、ロッテ3,西武4、楽天8、日ハム5,オリックスが7で、最多が楽天で最小がロッテだった。こちらも抑えの弱かったチームの引き分けが目立つ。 ペナントレースの優勝争いは勝利数ではなく勝率を争う。引き分けの多さが有利に働くケースもある。過去最多の19試合の引き分けを記録した1982年の星野中日は、勝利数は3位ながら勝率で優勝した。 では9回打ち切りで何がどう変わるのか。 評論家の里崎智也氏は「ベンチワークが変わる可能性がある」と見ている。 「万が一延長になったら?というようなことを考えてなくてよくなる。つまり投手を出し惜しみすることなく早めに使える。もちろんチーム編成や戦力によって変わってくるが、同点でも7回から勝利方程式をつぎ込むことができるようになる。7、8、9回と3人の揃っているチームにアドバンテージが出てくると思う。また無理に投手を引っ張ることがなくなり、代打にしてもチームによっては、仕掛けが早くなる可能性もある」