秋限定の和菓子。目にも鮮やかな黄色で伝える野山の錦。【今日の逸品】
〈御菓子司 塩野〉の《公孫樹》《ゆず饅頭》
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 昭和22年より赤坂の地で店を営む〈塩野〉は、お茶時に欠かせないお茶菓子を数多く扱う名店の一つ。桜の花びらをういろうで表現した可憐な春のお菓子「花衣」を筆頭に、季節の生菓子は種類も多く、月替わりのお菓子は常時15種類ほど。ショーウィンドウを見渡すだけでも心が踊る。 11月のお菓子の中で、その複雑かつユニークなフォルムで目を引くのが「公孫樹(こうそんじゅ)」。黄色く色づいた公孫樹(イチョウ)の葉が、氷餅をまぶした練切を包み、冷え込む晩秋の風情を表した一品だ。11月からの定番「柚子饅頭」は、ころんと丸く、楚々とした姿で、柚子の皮を潜ませた薯蕷饅頭の生地からは清々しい香りが広がる。 また、寒氷や雲平など、職人が一つ一つ真摯に作り上げる半生のお干菓子も、四季折々の贈り物として愛される〈塩野〉の看板の味。生菓子とお干菓子、美しい晩秋の「黄」の色が豊かな実りを告げている。 公式サイト
photo_Junichi Kusaka editor_Yoko Fujimori