地球最大の氷山、囚われの身から解放され再び放浪の旅へ
氷山が生態系に与える影響
BASの研究者たちは、ウェッデル海の極域生態系を研究するBIOPOLEプロジェクトの一環として、1年前にA23aを観測しました。王立調査船Sir David Attenborough号から巨大な氷山を撮影し、付近の海氷からサンプルを採取したといいます。 BIOPOLEプロジェクトに参加した生物地球化学者のLaura Taylor氏は、A23aとの接近遭遇の重要性を強調します。 このような巨大な氷山は、通過する海域に栄養を供給し、普段はそこまで生産性が高くない場所に豊かな生態系を作ることで知られています。しかし、特定の氷山やその規模、起源がそのプロセスにどのような違いをもたらすのかはまだわかっていません。 私たちは、氷山の後方、横、前方で海表面の海水サンプルを採取しました。これらのサンプルは、A23aの周辺にどのような生態系が形成される可能性があるか、またそれが海洋中の炭素や、大気中の炭素とのバランスにどのような影響を与えるかを解明するのに役立つはずです。 A23aがいつまで世界最大の氷山であり続けるのか、その旅が南極の海洋生態系についてどんなことを教えてくれるのかはまだわかりません。私たちはA23のことを文字どおり「氷山の一角」しか知らないってわけですね。
Kenji P. Miyajima