「カズの息子」という呪縛の先へ。親の力をプラスに換えて、三浦孝太19歳の挑戦
勝った姿を天国のジイジに届けたい
31日のRIZINでの対戦相手は元ホストのYUSHI(33、Potencial GYM所属)だ。 RIZINへの出場が決まった際は、アマチュア経験も他の競技での実績もない選手を大晦日のリングに上げることにネットや一部格闘技ファンの間で批判的な声が挙がったことも事実である。 「自分はほかの選手のように実績があるわけではないし、試合が決まったときは批判されるのはわかっていました。お父さんからも事前に言われていましたし。インターネットを見たら、試合に出る・出ないに関係のない誹謗中傷みたいなコメントもあったりして、ショックがなかったと言えば嘘になります。ただ、世の中には何にでも批判する人はいますし、一方でまだ何の実績も残していないのに応援してくれる人もいて、自分はその人たちを裏切りたくないというか。結果はどうなるかわからないですが、とにかくやるだけやって応援してよかったなと思われるような試合にしたいと思っています」 セコンドにつく、師匠の宮田和幸はRIZINに臨む意味をこう話す。 「試合が決まって、さらに頑張っているのは間違いない。ただ、格闘技の世界は甘くないし、孝太はまだ本格的に練習を始めて1年も経っていません。元々ボクシングをやっていたこともあって、打撃はいいので、あとはそれを実戦で出せるかどうか。様々な意見があるのは承知しています。そのうえで1人の若手として頑張っている孝太を応援してもらえたらと思います」 ボクシング技術を指導する葛西は、三浦にはボクシングなら新人王をねらえるほどのトレーニングを課してきたと自信を込める。 「本当ならアマチュアの舞台を経験してから、プロの舞台に立つべきだとは思います。ただ、元々良い星の下に生まれた子だから。僕はボクシングのことしか教えられないけど、スピードはあるし、根性もあってバネもある。親の血を引いている部分もあるし、しっかりとした信念も持っている。ボクサーとしてはどこに出しても恥ずかしくないレベルになってきたし、あとは相手と組み合って“やるか、やられるか”だけですから」 甘いマスクとその柔らかな口調は、ともすると格闘家に向いていないようにも思える三浦。だが、宮田や葛西をはじめ、家族や仲間も自分の信じた道を突き進む彼の意思の強さ、素直な心意気を感じているからこそ惜しみないサポートをしているのだろう。