金銭債権のトークン化、10兆円とも言われる巨大市場の可能性とは──NTT Digital、シンガポールでAmazon売掛金のトークン化を展示
ユースケース、ウォレット、ステーブルコインが三位一体で不可欠
ただし、このビジネスモデルが成立するには、トークン化だけでは足りないと成本氏は述べた。 「対象となる債権が多数あることはもちろん、ウォレットとステーブルコインが不可欠。この3つが揃って初めて普及が可能になる」 金銭債権のトークン化に限らず、ウォレット、ステーブルコイン、ユースケースが三位一体で増えていかないと、こうしたRWA(現実資産)のトークン化をはじめ、Web3/ブロックチェーンの「マスアダプションは実現しないと思っている」。 NTT Digitalの事例は、実証実験だったが、実際にこのビジネスモデルに取り組んでいる会社が存在する。東京に拠点を置く3rd Economyは2024年3月にトークン化金銭債権のマーケットプレイス「MoneyFarm」をスタートさせた。7月には、サービス開始から3カ月でGMV(流通取引総額)が1億円を突破したと発表している。 さらに金銭債権のトークン化が進み、二次流通が発生した場合には、対抗要件の問題が出てくるが、先日、ST基盤「ibet for Fin」をコンソーシアム形式で推進するBOOSTRY(ブーストリー)は、第三者対抗要件の具備をデジタル完結できる「デジタル対抗要件(確定日付)サービス」を発表している。 市場ニーズ、そしてウォレット、ステーブルコインといったテクノロジー、さらには新たなビジネスモデルに取り組む事業者が出揃い、10兆円の市場に新たな光があたる日はそう遠くなさそうだ。 |文:増田隆幸|画像:Shutterstock
CoinDesk Japan 編集部