難問の積分計算をホワイトボードに書き置きしておいたら……? 理系大学での出来事に「かっこいい」「数字でつながる感じいいな」の声 投稿者にその後を聞いた
SNS上で注目を集めた投稿について、その背景をあらためて取材する「バズ投稿のウラ話」。今回は、2023年にX(Twitter)で話題になった、書き置きしておいた積分の問題が何者かに解かれていたという出来事について、投稿者のδさんにお話を聞きました。 【画像】誰かが貼った解答 投稿者は、東京科学大学(旧:東京工業大学)数学系学士課程の学生であるXユーザー・δさん。積分計算の問題をランダムに出題するツール「積分ガチャ」で排出された難問を「だれかといて」と大学のホワイトボードに書き残しておいたところ、誰かが解答をプリントアウトしてその場に貼り出してくれていたのだそうです。言葉を交わすことなく、数式だけのやりとりで難問を解決に導くクールなコミュニケーションにシビれる! 投稿は1万8000件以上(当時)のいいねを集め、リプライ欄などでは「無言で答えだけ置いていくのかっこいい」「こーゆー数字で繋がる感じいいな」「グッドウィルハンティングやん」などのコメントが集まりました。 大学内のホワイトボードに書き置きした数学の難問を、知らないうちに誰かが解いてくれていたという“無言のコミュニケーション”。この出来事を投稿したδさんにあらためて、問題を書き置きしたきっかけやその後のエピソードについて話を聞きました。
「これ見てたら名乗り出てください」
――最初にご自身がこの問題を見たとき、どう思いましたか δさん: 本当にやることがなかったときに「超級」(一番難しいレベル帯)から1問すっぱ抜いて解いてみたのが始まりでした。この問題を見たときにはある程度(解法の)方針は立っていていましたが、面倒くさそ~という感じでした。 ――問題を大学のホワイトボードに書き残そうと思ったきっかけはありますか δさん: 数十分、手を動かしたらなんとか解けはしたのですが、答えに確証が持てなかった(超級は解答を公表していない)ので、この苦しみをどこかの誰かにも味わってもらうか!(笑)という軽い気持ちで書き残しました。 ――どのくらいの時間で解答が貼られましたか。また、貼られた解答を見たときの感想を教えてください δさん: (解答が貼られたのは)1週間もしないうちだったと思います。授業帰りにホワイトボードの前を通りががったら紙が1枚貼ってあって、まさかと思ったらそのまさかでした。 こちらとしては非常に助かったのですが、あまり大学でやるような数学ではないので時間を奪ってしまったという点で少し申し訳なくもありました。 ――投稿がバズった際の心境について教えてください。リプライなどで寄せられた反応で、印象に残っているものはありますか。 δさん: 内輪ではまあややウケしそうだなあと思いながら投稿したら、思っていた数倍、外にまで広がっていて驚きました。「問題が何言ってるのか分からん」という反応が多くて、あとは「グッド・ウィル・ハンティング」(※)という映画の一場面のよう、というコメントがちらほらありました。ちなみにこの映画自体は言われるまで知りませんでした。映画に出てくるそれよりははるかに簡単な問題でしたが……。 (※)「グッド・ウィル・ハンティング」……マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授が廊下の黒板に数学の難問を提示したところ、学生ではなく清掃員の青年があっさり解答してしまうというストーリーのアメリカの映画。 他にも、ChatGPTに入れただけだったりして……みたいなコメントが数件来ていたのは覚えています。このころ(2023年6月ごろ)のChatGPTは数学にはまだ弱く、簡単な計算問題も間違えるくらいだったので、そんな訳ないだろ……と半笑いで見ていました。(ただ恐ろしいことに、1年も経つとあちら側も発達を遂げていて、そう遠くない未来ではもしかしたらこの反応が的外れでなくなるのかもなどと思ったり……。) ――ありがとうございます。ちなみにその後、ホワイトボードで解答してくれた人は判明しましたか? δさん: 解答を作ってくれた人はいまだに分かっていません。これ見てたら名乗り出てください。たまにあれ誰だったんだろう……となるときがあるので。 画像提供:δさん
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