金銭債権のトークン化、10兆円とも言われる巨大市場の可能性とは──NTT Digital、シンガポールでAmazon売掛金のトークン化を展示
10兆円市場のファクタリング
「ファクタリング」とは、金融庁のWebサイトには、次のように記されている。 一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。 つまり、中小企業などの利用者から見れば、請求書発行から入金までの間(例えば、60日)に現金が必要な場合、お金を受け取る権利(金銭債権)をファクタリング会社に売り、現金を手にするサービスを言う。その場合、一定の手数料をファクタリング会社に支払う。メリットは、すぐに現金が手に入ることだが、デメリットは手数料がかかること。手数料は数%~20%になるケースもあるようだ。 金融庁は、Webサイトで「しかし、近時、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されています。また、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります」と続けている。 どこかグレーな印象が残るファクタリングだが、ブロックチェーン技術を使ったトークン化は透明性を高めることにつながる。そしてファクタリング市場には、大きな可能性がある。 日本のファクタリングの市場規模は、世界中の銀行やそのファクタリング子会社が加盟する国際機関FCIのデータによると、2023年には606億2200万ユーロ(約9兆9420億円、1ユーロ=164円換算)、ほぼ10兆円規模という。 不動産を裏付けとした不動産セキュリティ・トークンでは、大和証券グループ本社常務執行役員の板屋篤氏は「日本における投資適格不動産は170兆円とされる。そのなかで証券化されているものは3割にも満たない。つまり、100兆円以上の流動化の余地がある」とCoinDesk JAPANのインタビューで語っている。