子ども・子育て支援金制度についての情報は不十分?「全世代型社会保障」の構築という大枠を知る必要がある
※この記事は2024年2月19日時点の情報を基に執筆しています。 NHKが2024年2月に実施した世論調査によると、少子化対策の財源として創設する「子ども・子育て支援金制度」(以下、支援金制度)について、公的医療保険料への上乗せが月平均で1人当たり500円弱になるという見込みに対し、「妥当だ」が20%、「妥当ではない」が31%、「支援金制度自体に反対だ」が33%、「わからない・無回答」が16%という結果でした。 それほど大きな差は見られないようですが、具体的な制度内容や金額などがまだはっきりと伝えられていないため、このような結果になったのかもしれません。 支援金制度の話は非常に重要で、今後の社会福祉政策全般の財源論に大きく関わってくるため、ある程度のイメージは持っておく必要があるといえます。ここでは大まかな枠組みについて確認しておきたいと思います。
支援金制度は全世代型社会保障を構築するために必要なもの
2024年1月に開催された第32回社会保障審議会の資料「『全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)』、『こども未来戦略」について』」によると、「少子化対策と『全世代型社会保障』」として、図表1のような考え方があるようです。 図表1
出典:厚生労働省 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について ポイントは、「『全世代で支え、全世代を支える』社会保障に大胆に転換」することです。また、三位一体の労働市場改革や賃上げの先行により、経済基盤を強化することで国民の負担感を軽減するとしています。 少子化対策について報道で伝わってくる内容としては、例えば支援金制度では、月平均1人当たり500円弱を公的医療保険料に上乗せするといった部分的なものですが、これだけに関心が向いてしまうと全体像を見失ってしまい、本質的な考え方を理解することができなくなります。 繰り返しになりますが、社会保障制度を転換するために経済対策も実施し、改革を進めるというのがポイントです。つまり、全世代型社会保障を構築するために、労働市場改革や賃上げなどが推進され、経済面での改革を通じ、社会福祉政策の組み換えを実施しようとするものと捉えることができます。