昼食代600円の日本人と2000円の中国人 国内は「超円安」で留学生のアルバイトが集まらない
【列島エイリアンズ】安いニッポン編(2) 34年ぶりの円安水準は、ついに1ドル=155円に迫る勢いとなっている。海外からの訪日客が、予想外のバーゲンセールに浮かれているのとは対照的に、輸入物価上昇にさらされている日本人の多くは、身も細る思いを強いられている。 【ランキング】訪日外国人の都道府県別訪問率、トップとワーストは? そうしたなか、「中国の現地採用の若手スタッフとの経済力が逆転した」と話すのは、メーカー勤務の40代男性だ。 「先月、中国の現地採用スタッフを訪日させ、私が指導員の1人として数日間にわたる研修を行ったのですが、彼らは毎日、昼食時に2000円以上する焼肉ランチや回転寿司を食べていた。指導員の私はもっぱら600円の弁当です。『なんでそんなに余裕があるの?』と思って彼らの給与を調べたのですが、本社採用の新入社員と比べても、それほど差がなかった。10年ほど前まで、弊社の現地採用スタッフの給与は月10万円程度でしたが、2倍近くになっていたんです」 しみじみと、そう語り、「これは現地の人件費が高騰していることに加え、円安によるところも大きい。私の給与は10年間で全く変わらないのに…。月の小遣い4万円の私より、自由になるお金は単身の彼らの方が多いでしょうね」と自虐的に振り返った。 もともとは、低廉な人件費を目当てに生産拠点などの海外移管を進めたはずが、急激に進んだ円安のせいで、期せずして「世界同一賃金」へと向かいつつあるようだ。 一方で、都内にある〝ガチ中華〟の経営者は、円安を背景にした人手不足に悩まされているという。 「コロナ前までは、アルバイトの募集などしなくても人手に困ることはなかった。自ら『働かせてください』と言ってくる中国人留学生がたくさんいたから。でも円安の今は、飲食店でアルバイトするより、転売ヤーとか訪日中国人相手に白タクのドライバーでもして人民元を稼いだ方が儲かるので、ネットで求人広告を出してもほとんど応募がない。コロナ前に1100円だった時給を1300円にまで上げたけど、それでもダメ。人手が足りないから、元の席数を半分に減らして営業している」 日本人の資産や収入の相対的価値を下げるだけでなく、社会にゆがみをもたらす目下の超円安は、一体いつまで放置されるのだろうか。 =この項おわり