子ども・子育て支援金制度についての情報は不十分?「全世代型社会保障」の構築という大枠を知る必要がある
支援金制度はどのような政策に活用されるのか
それでは、支援金制度は具体的にどのような政策に活用されるのでしょうか。一言でいうと、図表2のような取り組みの実施に使われるようです。 図表2
出典:厚生労働省 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について 細かい内容は上記の資料で確認していただければと思いますが、これから子育てをしていこうという世帯や、子育て中の世帯への支援が拡充されるものとなっています。 子育て対策としてはまだまだ足りないと感じる部分もあるかもしれませんが、どのような支援が活用できるのかは事前にチェックしておくといいかもしれません。 ただし、ここでは「こども・子育て支援加速化プラン」の概要が示されているに過ぎず、前述した全世代型社会保障の構築は他の社会福祉政策全般にも及ぶため、これらを全世代で支え、全世代を支えるという視点を持つことは必要です。
「こども・子育て支援加速化プラン」の財源はどこから出すのか
「こども・子育て支援加速化プラン」の財源はどこから捻出しようとしているのでしょうか。 一つは「既定予算の最大限の活用等」となっており、つまり予算の組み換えです。そしてもう一つは、「歳出改革の徹底等」とあり、要は適切に予算を振り分け、無駄遣いをなるべく減らすという意味です。 図表3
出典:厚生労働省 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について 社会福祉政策の財源としては、大きく分けて公費(国・地方自治体)≒税金と、社会保険料が充てられます。 ここからがポイントですが、「こども・子育て支援加速化プラン」の財源の一部は、公費の節減と社会保険負担の軽減の効果を基に組み立てられています。つまり、社会福祉政策全般の組み換えを行うことで、効果の薄い政策が見直されていくというイメージです。 そして、医療や介護などの社会保険制度を見直すことで、財源を確保する新たな制度として支援金制度を創設するという流れになっています。 ここで強調されているのが、社会保障改革の徹底と賃上げです。社会保障審議会の資料では、具体的には「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」「医療・介護制度等の改革」「地域共生社会の実現」を3つの柱とし、次の時代に向けた改革の道筋が示されています。