村上佳菜子「かいちゃダメ!の言葉はトラウマ」アトピーと向き合った29年間
アトピー性皮膚炎には、季節ごとに悪化要因があります。「夏は湿気があってベタベタしていて、かゆくなりやすい」と語るのは、29年間アトピーに悩まされながらも、フィギュアスケートでソチオリンピックに出場した村上佳菜子さん。「かいちゃダメ!」という言葉が今でもトラウマだという村上さんに、当時の心境や、引退後の治療について聞きました。(Yahoo!ニュース Voice)
「かくこと」でストレス解消 我慢できなかった
――現在は夏ですが、季節によってアトピーの症状には差がありますか? 村上佳菜子: 夏は湿気があってベタベタしていて、かゆくなりやすいですね。現役時代を過ごした名古屋はムシムシした暑さが特徴的なんですが、室内は冷房が効いていて乾燥気味でも、外へ出た瞬間にモワッとするので、寒暖差で血行が良くなり、すぐにかゆくなっちゃったりというのが結構ありました。 でも、季節にかかわらず春夏秋冬、いつでもかゆみは感じています。季節の変わり目の春や秋も、温度差や花粉アレルギーでかゆみが増したり。冬は冬で乾燥してかゆかったりします。
――アトピー性皮膚炎の症状はいつから出始めたんですか? 村上佳菜子: 生後3~4か月の頃から症状が出始めたと、母親から聞いています。顔も体もかなり荒れていたそうです。小さい頃は何も考えずに、かゆかったらかきむしっていて、特にそれを不思議と思わずにいました。お風呂に入るとかいた部分が染みてヒリヒリすることも、寝るときに体液でシーツと肌がくっついて痛いのも、「そういうものなんだ」とばかり。当時はスケートに夢中すぎて、容姿というものを考える暇もなかったですからね。 ――では、自分がアトピー性皮膚炎だと認識し始めたのはいつ頃ですか? 村上佳菜子: 中学生になった頃から、アトピーだと認識するようになりました。制服を着て足を出すようになってから、みんな足の膝の裏に傷がなくていいなと思ったり、自分がちょっと人と違うことが気になるようになってきたり。好きだった短いスカートも、はかなくなってしまいました。膝の裏や足首、腿の上にも傷がひどく出ていたので、ボロボロになっているところを見せたくなくて。 「かくこと」を我慢しなきゃとは思っていたんですが、やめられませんでした。自分の中で「かくこと」はストレス発散になっていて、そうしないと気持ちが落ち着かない状態だったからです。例えばスケートの練習中、できないことがあったとき、その焦りは「かくこと」で鎮まる。これで気持ちが落ち着くならいいやと、いっそ気にせずにかくようになっちゃって……。大人になっていくにつれて、さらにひどくなってしまいました。