子育て中の片付け、あなたはどう思う? 近藤麻理恵「"片付け"の優先度はライフステージで変わる」
著書『人生がときめく片づけの魔法』が世界40カ国以上でベストセラーとなった、“こんまり”こと近藤麻理恵さん。昨年とあるインタビューで「子育て中の片付けをあきらめた」と発言し、大きな反響を生んだものの、ぽろりとこぼした何気ない一言が広く拡散されていくことに戸惑いもあったという。「その人にとって『今集中するべきこと』があるときは、必ずしも片付けを第一優先にしなくてもいい」と語る近藤さんが考える、片付けのゴールとは。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
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「片付けをあきらめた」何気なく発した言葉に共感の声が殺到
――以前、インタビュー記事で「子どもが小さいうちは完璧な片付けはあきらめた」と発言されたことが注目されました。どういった思いで発言されたのでしょうか。 近藤麻理恵: あのインタビューを受けた時期は、3人目の子ども(長男)がちょうど1歳になった頃でした。長男は夜に眠らないタイプだったので、当時の私は常に眠くてぼーっとしていて。今まで当たり前にできていた片付けもできず、家の中が散らかったままの状態になってしまったんですね。 世の中で私は“片付けの人”とされているので、「私、このままでいいのかな」と悩んだ時期もありました。でも、私が伝えている「こんまりメソッド」の最終的な目的は、「家がきれいに片付くこと」だけではなくて、「ときめく毎日を送ること」なんですよね。 自分にとって大切なことは、子どもと一緒に過ごす時間です。なので、部屋が多少散らかっていても、子どもが「この本を読んで」と言ったときに本を読んであげる。そうした選択をすることで「実は私ってときめく毎日を過ごせているんだ」と思えるようになり、心がすごく楽になったんです。それまでは片付けにこだわるあまり、子どもを叱りたい気持ちになってしまったこともありましたが、「これは本末転倒だぞ」と気づいて、気持ちを切り替えたら、心穏やかに過ごせるようになりました。 ――そのインタビュー記事が公開された後の反響を受けて、いかがでしたか。 近藤麻理恵: こんなに反響があるとは思わなかったので、びっくりしました。インタビュー中の会話の中で「片付けを完璧にすることはあきらめちゃったんです」と何気なく言っただけだったので。記事が世に出て話題になったのが、私がインタビューを受けてから3~4カ月後だったこともあり、「あれ? そんな発言したっけ?」と私自身もすごく驚きました。 ――ネット上の反応を見ると、「こんまりですら片付けをあきらめるレベル」と、育児の大変さを伝えたり、読者の片づけられない現状を肯定するメッセージとして伝わっている印象でした。 近藤麻理恵: それは本当にうれしいですね。ただ、一方で“片付けの人”としてのイメージが強すぎるあまり、誤解を生んでいると感じることもあります。 私の片付けメソッドの一番のポイントは「ときめくものを選ぶこと」なので、「捨てなければいけない」とか「手放さなければいけない」とは言っていないんですね。本の中でも、「ときめくものは堂々と取っておいてください」と明確に書いてあるのですが、「こんまりが持っておいていい本は30冊までだと言っている」と書かれた投稿を見かけたこともありました。そうした認識が一度広がってしまうと、私からの発信が届かずに誤解されたままの方もいますから、こればっかりはどうしようもないですね。 でも、私が発信することに興味を持ってくださることは片付けの素晴らしさを伝える第一歩なので、それ自体はとても感謝しています。そのうえで、自分の声が届く方に対しては私自身が素敵だなと感じることを地道に伝え続けたいですね。