シロアリはなぜ「木だけ」で生きられる?「100年の謎」を解いた東工大 本郷氏に聞いた
次は「牛のルーメン(第一胃)」を調べたい
──今後の研究についてお聞かせください。 本郷氏:さらに色々な共生細菌を調べて、共生の仕組みを突き止めたいと考えています。多様な系統群の細菌が共生しているわけですが、何もかもが共生できるわけではありません。したがって、何らかの因子があって共生できているはずなのです。その中から、たとえばミトコンドリアと系統的に近いものが見つかれば、ミトコンドリアの祖先が共生した仕組みも含めて、より普遍的な細胞共生のメカニズムがわかってくるのではないかと思っています。 また、これまではずっとシロアリを使ってきたのですが、牛のルーメン(第一胃)も調べたいと考えています。牛はシロアリと同じように植物質を餌としており、そのルーメンには、細菌や原生生物などの微生物が数多く共生して、植物繊維を消化していることがわかっているからです。 人間については、腸内細菌の研究は比較的進んでいたのですが、最近はヒト腸内に住む原生生物に興味を持つ研究者も増えてきました。つい最近も、原生生物がヒトの腸内微生物群集全体に影響を与えていたり、さらに免疫系にも間接的に影響を与えているといったこともわかってきました。 ──今後、ますますの研究に期待されるところです。本日は、貴重なお話をありがとうございました。 本連載特設ページはこちら:https://www.ofsf.or.jp/SBC/2310.html
協力:公益財団法人 大隅基礎科学創成財団