2024年住まいのトレンドワードは「断熱新時代」! 省エネ、健康面からニーズ高まり、学校断熱改修・DIY・等級6以上の高性能住宅の普及など断熱は次のステージへ
断熱性能が注目される理由(2) 住まい探しでの断熱への関心が高まっている 住まい探しをする際に、SUUMOのサイトで「ZEH」「省エネ」といった文言を含む問い合わせが、平均的な問い合わせ数よりも「新築マンション」で1.6倍、「新築一戸建て」で1.5倍、「賃貸」で1.8倍になったり、「ZEH」[省エネ]といった文言を含む物件掲載数が増加したりといった傾向が見られ、関心の高さがうかがえる。 断熱性能が注目される理由(3) 今住んでいる住宅の断熱改修に取り組む人が増えそう? リフォームで重視したい項目を聞くと、「断熱」「省エネ」を選択した人が増えているほか、YouTubeでは、市販キットを使って断熱DIYする様子を紹介した動画が多く掲載されているなど、住んでいる住宅の断熱改善への興味の高さがうかがえる。
なんと、犬を飼っている家庭でZEHへの関心が高い
そして、筆者が最も注目したのは、犬を飼っている家庭でZEHへの関心が高いことだ。SUUMOリサーチセンターの調査によると、ライフステージ別では子どものいる家庭で、ペット関連では犬を飼っている家庭で、今後賃貸住宅を探す場合に、ZEH賃貸住宅を「家賃が上がっても検討したい」と回答した比率が高かった。 これは、共働きが増えたこともあって、家で留守番をする犬のために、エアコンをつけたままで外出する家庭が多いからだろう。電気代のことを考えると、家賃が上がっても電気代を気にせずに済む賃貸住宅が良いと考えたのだと思う。
断熱性能を高めるメリット、電気代や快適な居住空間だけでなく「健康」にも注目
住宅の断熱性能を高めるメリットとしては、「少ないエネルギーで快適に暮らせる」、つまりエアコンの冷暖房効率が良く、快適な室温を保てることにある。ほかにも、住宅ローン減税の減税額や子育てエコホーム支援事業の補助額が引き上げられるなど「優遇が大きい」こともある。 さらには、室温が安定することで、ヒートショックや熱中症のリスクを軽減できる。窓や壁の断熱性能が高いと屋外の冷気の影響を受けにくくなるので、窓ガラスの結露が発生しづらくなる。結露を放置するとカビの原因にもなるので、健康被害を引き起こす可能性も軽減できる。このように、健康面でもメリットが大きいのが、断熱性能の特徴だ。 今回、SUUMOリサーチセンターが注目したのは、断熱性能による健康面のメリットが、高齢者にとどまらずすべての世代に広がることだ。 WHO(世界保健機関)は2018年に「住まいと健康に関するガイドライン」を公表し、寒さによる健康被害から居住者を守るための室内温度として18℃以上を強く勧告した。一方、冬の在宅中の平均居間室温が、WHOが勧告した18℃を満たしているのは、慶応大学名誉教授・伊香賀俊治氏作成資料によると、北海道、新潟県、神奈川県のわずか1道2県で、それ以外の都府県は18℃を下回るという結果もある。 室温が低すぎると血圧が上昇するなど、さまざまな健康リスクを引き起こす。断熱改修によって、冬に暖かく保たれた部屋の居住者では、血圧上昇が抑制されたり、心電図の異常所見が少なくなったりといったデータもある。また、健康リスクが懸念される高齢者だけでなく、子どもや女性の健康にとっても、室温の維持が重要であることがわかったという。 ※6 実測調査に参加した646世帯の子供1,041人のうち、居間床上1m室温19.7℃以上(暖かさ得点高群の室温平均値)の285世帯、414人の子供を対象として分析 ※7 有効サンプル(女性)における知覚温冷感と各室室温平均値の対応は、温暖群:居間室温19.9℃、居間床近傍室温17.8℃、脱衣所室温17.1℃に対し、寒冷群:居間室温19.6℃、居間床近傍室温16.0℃、脱衣所室温15.4℃であった
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