ブラジルに魅せられた作曲家、ダリウス・ミヨーの代表作『スカラムーシュ』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ミヨー『スカラムーシュ』 ブラジルに魅せられた男が残したものは
今日6月22日は、フランス近代の作曲家、ダリウス・ミヨー(1892~1974)の命日です。 南フランスのエクス・アン・プロヴァンスに生まれたミヨーは、パリに出てサティに師事。プーランクなどとともに「6人組」を結成して、前衛的な作品を手がけます。 その作風は、若き日に、詩人で外交官のポール・クローデルの秘書として、ブラジルで生活した経験から大きな影響を受けたエキゾティックなもの。代表作として知られる『スカラムーシュ』は、まさにその筆頭です。赴任先のブラジルでの思い出を音楽で表現したこの作品からは、ブラジルの雰囲気やサンバのリズムに感激したミヨーの興奮ぶりが伝わってくるようです。 作品に付けられた『スカラムーシュ』とは、パリにある子ども向け劇場の名前で、同劇場で上演するモリエールの喜劇『飛び医者』のための音楽をミヨーが手がけた名作です。本来はサクソホーンと管弦楽のための作品でしたが、今ではさまざまな楽器による編曲で親しまれる人気曲です。 ちなみにブラジルに魅せられたミヨーは、『ブラジルの哀愁』というピアノ曲も残しています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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