宮田愛萌さん「あやふやで、不確かな」インタビュー 恋愛小説2作目「人の気持ちは分からない。だから書く」
文筆家として活動している宮田愛萌さんが、自身2作目となる小説『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)を刊行しました。4組の男女それぞれが抱える恋心を描いた恋愛小説を書いたきっかけや、アイドルから文筆家になった理由、これからの目標について聞きました。 【写真】宮田愛萌さんインタビューカットはこちら
伝える努力をする人たちのお話
――今回の小説を書いたきっかけを教えてください。 「人の気持ちって分からないな」と思ったことが始まりです。 言葉にして気持ちを伝えたとしても、私が思った通りに相手が受け取ってくれるとは限らないし、相手は相手のフィルターを通して物事を見ているから、同じものを見ていても同じ感情にはならない。それでも伝えないと、人とコミュニケーションは取れないんですよね。だから、伝える努力をする人たちのお話を書けたらいいなと思って、本作を書きました。 ――どこにでもいる普通の女の子・冴をめぐる小説ですが、冴を話の中心にしようという構想は最初から? はい。最初は冴は出さずに、冴の周りの人を書こうとしていたんですが、最後に冴の話も書いちゃいました。 ――「友人が恋人と別れたことをきっかけに、自分が恋人のことを愛しているかわからなくなった成輝」、「逆に恋人との絆を強くした智世」などと章ごとに登場人物が出てきますが、どのエピソードが苦労しましたか? 一番苦労したのは、一つ目の成輝の話です。登場人物全員と分かり合えなくて。成輝の気持ちも桃果の気持ちも分からないし、なんなら伸もよく分からず、ギリギリ成輝の会社の後輩である山本が分かるぐらい。だから書くのに時間がかかりました。 ――「分かり合えない」というのは? 不安なら不安と言えばいいのに、なぜ言葉にしないのかが分からない。「なんか面倒臭いな」と思うのは分かるんですけど、人と人との関係だから自分がどうにかしないとどうにもならないじゃんと思うんですよね。成輝は結局全部受け身。私自身は割と自分でガツガツ動きたいタイプなので、受け身でいるのは耐えられないし、よく分からないです。