なぜ日本シリーズが面白いのか
そして池田氏が指摘するように終盤にゲームが動くのも今シリーズの特徴。ヤクルトの“守護神”のマクガフは第1戦、第5戦と2度救援に失敗。石山がブルペンでは光っていたが3連投となった第5戦では失点している。対するオリックスはクロ―ザーの平野を投入する試合がまだ1試合しかないが、セットアッパーのヒギンスが3試合登板で5失点、第2戦、第3戦で使ったバルガス、4試合に登板している吉田凌らも失点しており、比嘉も第4戦でオスナにタイムリーを浴びるなど勝利方程式を確立できていない。最後までどうなるかわからないというファンからすれば面白いゲームになっている理由のひとつだろう。 さて“面白い日本シリーズ”は、ここからも続くのだろうか。もう後のないオリックスは、今日の第6戦に沢村賞投手の山本を立てる。第5戦後に中嶋監督が公開予告した。タイに持ち込み“逆王手”をかけることができれば第7戦は、第2戦で好投した左腕の宮城だ。 一方のヤクルトは、若きエースの奥川を山本と再びマッチアップさせるのではなく、ここまで登板のない高梨の先発が有力。今季4勝1敗、防御率3.63の成績だが、優勝を決めた10月26日の横浜DeNA戦の先発を任されて4回を1失点に抑えた。 高津監督は、高卒2年目の奥川を大事に使い、レギュラーシーズンでは、登板後に登録を抹消して登板間隔を十二分に空けてきた。王手をかけているヤクルトからすれば、まだひとつ負けることができる。しかも、ほっともっとフィールド神戸は寒くなる。ここで球団の宝である奥川に無理をさせて潰すわけにはいかない。 高津監督が中7日空けることのできる第7戦に温存する選択をしたとしても不思議ではない。必勝を期すために第2戦で133球完封した左腕の高橋奎をブルペン待機させるのだろう。 橋上氏は「ほっともっとの寒さが投球にどう影響するかの不安はあるが、広い屋外球場であり、山本、宮城の2枚看板を残しているオリックスが有利だと思う。ヤクルトは奥川をどう使うかわからないが先発が踏ん張れば、また接戦の面白い試合になるでしょう」という見解。 池田氏も「オリックスが連勝で逆転する可能性は十分にあると思う。開幕戦で勝ち投手になれなかった山本は相当な気合で臨むだろうし、打線が活性化しはじめたこともプラス材料。最後まで凄いシリーズは続くと思う」と予想している。 1勝3敗からの逆転日本一は過去に17度中4度しかない。(文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)