「強盗が怖くなったがやめたいと言えず」“ルフィ事件”安易に闇バイトに応募した26歳の実行役に待っていた結末とは【#司法記者の傍聴メモ】
「被害者が意識不明の重体になったと知り、強盗をするのが怖くなっていたが、やめたいとは言えなかった」 【画像】カメラが見た捜査本部 壁一面の捜査カレンダーに警視庁の執念が… “ルフィ事件”の舞台裏 金銭目的で安易に闇バイトに応募し、強盗に加担した男は、途中で「強盗が怖くなった」にもかかわらず、犯行を繰り返した。 全国で相次いだ指示役「ルフィ」らによる一連の強盗のうち、東京・狛江市で当時90歳の女性が亡くなった強盗致死事件など、3つの事件で起訴された実行役・加藤臣吾被告(26)の裁判。実行役のリーダーの指示に従う立場で、被害者の命に関わるような激しい暴行には加担していないという加藤被告に待っていた結末とは。
■謎のアカウントから突然DM…指示役「リスクないから安全。安心して」
2022年の秋ごろ、加藤被告のツイッター(現X)に突然DMが送られてきた。 「高額で短期の仕事あります。興味ありませんか」 送り主は“ブラックボックス”という見知らぬアカウントだった。この頃、個人でソフトウエアを販売したり、ゲームのアカウントを転売したりして金を稼いでいたという加藤被告。ただ、月収は5万円ほどしかなく、てっとり早く金を稼ぐために“運び”と呼ばれる闇バイトを探していたところ、このDMが届いたという。返事をすると、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」に誘導され、「Kim」と名乗る人物を紹介された。 それから間もなく、「Kim」から広島市の時計店兼住宅に強盗に入る計画を持ちかけられた。当初、強盗をすることに「抵抗はあった」というが、「Kim」から「捕まるリスクはないから安全。あなたたちのことを大切にしているから安心してください」などと説得され、金に困っていた加藤被告は参加することを決めたという。 犯行当日の2022年12月21日。加藤被告は東京駅で面識のない“共犯者”の男らと合流し、新幹線で広島駅に向かった。所持金は1000円ほどしかなかったが、合流した男の1人が新幹線代を支払ったという。座席はバラバラだったため、移動中に男らとの会話はなかった。 現場付近に到着した実行役6人。指示役から宅配業者役を命じられた加藤被告ら2人がまず、高齢の夫婦と息子が住む住宅に向かった。もう1人の宅配業者役がインターホンを押し、玄関から出てきた70代の女性を押し倒した。「押さえとけ」と言われた加藤被告は、指示通りに倒れた女性を押さえつけていると、他の実行役が次々と住宅に押し入り、現金約250万円や腕時計など137点・約2439万円相当を奪って逃走した。加藤被告は最初から最後まで女性を押さえ続けていただけで、「一切暴行は加えていない」という。 この事件では、別の実行役にモンキーレンチで頭を殴られた40代の息子が一時意識不明の重体となり、現在も脳に障害が残る大けがをするなど、住人3人がケガをした。加藤被告は報酬として60万円を受け取った。