「老人ホーム選び」は50代から始めないと遅い!老後に笑う人と泣く人の決定的な差とは
● 「終の棲家」で幸せに 暮らすために最も重要なこと 最後に、老人ホームで幸せに暮らすためにはどうしたらいいのでしょうか。 有料老人ホームへの申し込みは、親戚や知り合いがすでに入居していると優先されることもあります。入居者が介護される立場になると「自分が何もできない。情けない」と自己否定することが多くなり、情緒が不安定になる場合があるので、親戚や知り合いによる精神的・物理的なサポートが望めるからです。 2019年の朝日大学などの調査では、施設の仲間たちに「自分の得意なことを教えると幸福度が上がる」という結果がでています。筆者の祖母も自宅で寝たきり状態のときに「施設でみんなに得意な折り紙を教えてあげたときは幸せだった」とふと漏らしたことがありました。こういった教え合う交流会がある老人ホームを選ぶことです。 また、若い頃のように行動できなくなったありのままの自分を受け入れること、周囲に受け入れてもらうことによっても、幸福度が上がるという調査結果があります。筆者が訪問した老人ホームでは、様々なイベントがあり、入居者は自然体でそれに参加し、自己肯定力が高く、スタッフも笑って対応してくれていました。 他方、スタッフが挨拶もしてくれないような施設では、案の定、虐待めいた行為があることが後でわかったケースもあります。施設選びでは何度も見学し、信頼関係を築けるかどうかを見極めることが「幸せな老後」には欠かせません。 冒頭で述べたように、老人ホームや施設に関する情報収集は、高齢化して体力や判断力がなくなってから始めるのでは遅いのです。「幸せが維持できる終の棲家」を、現役時代から研究しておきましょう。親の介護が始まるときに、自分自身の老人ホーム探しもしっかりと始めることです。
柏木理佳