EVシフトで2020年代後半を「失われた5年」にしないために必要な産業の変革
一方で、EV市場に対する新たなチャレンジャーとして注目されるのが、日本の大手家電メーカー、シャープだ。 ■ハイエース級サイズに「リビングルームの拡張空間」 シャープは、「SHARP Tech-day」(2024年9月17日~18日、東京国際フォーラム)で、EVのコンセプトモデル「LDK+(エルディーケープラス)」を初公開した。 車体や電動機器を含むEVプラットフォームは、シャープの親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)科技集団(Foxconn)がすでに公開している「Model C」がベース。ボディ形状は、スライドドア式のミニバンで、シャープ関係者によると寸法は「ハイエース級」だという。
開発コンセプトは「リビングルームの拡張空間」。LDK(リビング・ダイニング・キッチン)にプラス(拡張)という発想だ。 シャープは、今年5月14日に公表した「2023年度決算及び 中期経営方針」の中で、2025年から2027年を再成長期として位置付けた。Foxconnとのさらなる連携を深めることで、AI(人工知能)、次世代通信、そしてEVを将来事業の3本柱とする方針を打ち出している。 電気・IT業界では、ほかにもソニーとホンダが2020年後半を目指して次世代EVの量産準備を進めるなど、中・長期的な視野でEVに注力する姿勢を示しているところだ。
では、EV市場の“現状”は数字のうえでどうなっているのか。詳しく見ていこう。 オーストリアの自動車関連機器大手の日本法人であるAVL(エイヴィエル)ジャパンが、9月4日に早稲田大学と協力する社会連携講座「自動車用パワートレイン開発プロセスおよび開発手法シンポジウム2024」で取り上げたデータを紹介したい。 それによるとグローバルでは、2024年7月の乗用車市場におけるEV割合は14.4%。若干の増減は見られるものの、過去3年間でみると「おおむね横ばい」の状況だという。