EVシフトで2020年代後半を「失われた5年」にしないために必要な産業の変革
地域別では、中国が23.6%ともっとも割合が多く、次いで欧州が11.1%、アメリカが8.5%と続き、日本は1.3%にとどまる。 ■PHEVが支える中国、大統領選で未知数のアメリカ 中国では、EVを含めた新エネルギー車(NEV)と呼ぶ次世代車が売れており、この中にはEV、プラグインハイブリッド車、さらにEV機能を主体として内燃機関を発電機として使うレンジエクステンダーが含まれる。 中国地場メーカーが製造するプラグインハイブリッド車とレンジエクステンダーの価格競争力は高まっており、中国国内のEV市場を下支えしている状況だ。
気になる欧州では、前述の「Fit for 55」に関連したEV・FCEVの導入義務化法案の施行時期や内容について、「先行き不透明」という見解が示されている。 ドイツのEV割合は、2023年の18.5%から2024年は12.5%へと下落した。これは、政府からの新車購入補助金の段階的な減額による影響が大きい。 一方、ノルウェーは、2023年の82.4%からさらに伸びて、2024年は85.6%に達した。有料道路や公営駐車場など、日常生活の中での「EV優先」の施策が奏功している。
アメリカについては、バイデン政権でのインフレ抑制法(IRA)に対して自動車メーカー各社が事業の適合化を急ぐと同時に、大統領選挙の結果次第で「自動車産業関連施策が大きく転換するリスクがある」との分析だ。 では、自動車産業界全体としての見方はどうか。 自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会(自工会)が9月19日に実施した定例会見の際、筆者は「EVシフトに対する認識と今後の方針」について聞いた。
自工会を代表して回答した、同副会長で本田技研工業・代表取締役の三部敏宏氏は、「乗用EV市場(の伸び)が鈍化している」と現状を表現。そのうえで、各国のEVに関する補助金の実施や内容の変更などによって、当面の間は「(EV需要の)浮き沈みがあるが、(市場全体としての)流れは変わらない」とした。 また、自工会としては「2050年(のカーボンニュートラル)を目指して、あらゆる技術によるマルチパスウェイで臨むスタンスは変わらない」とこれまでの基本方針の維持を明言した。