神奈川県・厚木市の保育士がストライキを実行 「子どもたちを守るため」ハラスメントや“補助金の不正受給工作”に抗議
問題の改善を求めてストライキを実行
法人が神奈川県内で運営する保育園のうち、労働組合が存在するのは関口園のみ。現在は9名が加入しており、内訳は園長(A園長)が1名、保育士が6名、調理師が1名。 今年3月、初の団体交渉が申し入れられる。同月、厚木市役所による監査が妻田園と関口園に入った。交渉や監査により、B偽装園長が賃金を返金、法人も厚木市に運営費を返金、法人と組合とで合意が約束され休職していたA園長が復職するなどの結果が生じた。 一方、違法行為を主導したC園長とD氏は戒告処分および注意処分のみで済まされた。また、関口園以外の園ではハラスメントによる保育士の退職が続いている。組合はこれらの問題を改善するために交渉を続けてきたが、法人側が要求に応じないため、ストライキに踏み切ったという。 さらに、他の園では賃上げが実施されたものの、関口園でのみ賃上げがなされなかった。この対応について、総合サポートユニオンの池田一慶氏は「組合差別である」と指摘する。
「子どもに迷惑をかけない」ストライキ
11月11日に提出された、法人の理事長宛ての「ストライキ通告書」には、以下の要求事項が記載されている。 (1)園児を呼び捨てにするなど、C園長の不適切保育をやめさせてください。 (2)C園長の職員に対するハラスメントをやめさせてください。 (3)園長在籍偽装やそれに伴う助成金の不正取得に至った経緯とその原因を明らかにし、再発防止策を協議で策定してください。 (4)組合員の賃金を上げてください。 また、園の保護者らも、助成金の不正受給や園長・保育士の相次ぐ退職について保護者らに説明・謝罪を求める要請書を、法人宛てに提出している。 ストライキに参加したのは、組合員のうち保育士6名。20日の13時から終日まで実行された。 なお、当日、関口園では、災害など不測の事態に保護者が園まで迎えに行き子どもを引き取る「引き渡し」の訓練が行われていた。つまり、午後からは、園内に子どもは不在だった。 ストライキと同日に開かれた会見で、組合員の保育士は「保護者や子どもに迷惑をかけたくない」と、意図を語った。今後、再びストライキを実行するかは未定であるという。