「紆余曲折」したその先にあるものってめっちゃおもしろい―地獄も見た野田クリスタルの芸人人生“これまで”と“これから”
ピンで『R-1ぐらんぷり2020』優勝、マヂカルラブリーとして『M-1グランプリ2020』の王者となった野田クリスタルさん(35)は、それからの去年1年を「荒波の中を溺れないようにもがいていただけ」と振り返る。年間の仕事が10本しかなかった時代も辞めようとは思わなかったこれまでの芸人人生は、まさに「紆余曲折」。だが、「紆余曲折」は好きな言葉で、めっちゃおもしろいことだと語る。そんな野田クリスタルさんに、これまでの道のりとこれからについて思うことを聞いた。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
M-1は“チャンピオンを任される”という意味合いが強い―必死にもがいた1年だった
――2021年の自分に点数をつけるとしたら何点ですか。 野田クリスタル: わからないです。でも、100点であってほしいですね。点数をつけるための記憶がないです。覚えてない。荒波にのまれた状態だったんで、自分が今どこにいるのかわかってなかった。その泳ぎ方に点数つけろと言われても、もがいていただけなんでわからない。はたから見たらいい点数だったかもしれないし、ダメだろうとか思うかもしれないけども、それどころじゃなかったですね。 ――M-1 優勝以降は、寝る間がないほど忙しかったのでは? 野田クリスタル: 寝る時間はありました。ただ、どんな状態でも絶対にやるようにしていたゲームと筋トレが物理的に無理になって、そんなの初めてだったので変な感じでしたね。今でも、カツカツになってますよ。声はかれたら出ないですし、できないものはできないと自分に言い聞かせています。今やれることを必死にやっているだけ。必死に泳いで。とにかく溺れないようにと。 それとやっぱり、去年はチャンピオンの年なんだという思いはありました。仕事が死ぬほど忙しくて、こんな多忙で寝てないってエピソードが話せるのがチャンピオン、そう言えるように頑張りました。だから、一年間頑張ればいいんだと思ってやりましたね。実際、終わりがなかったら、俺、もう沈んでますから。 ――ボクシングの防衛戦みたいですね。 野田クリスタル: 防衛戦ですね。けれど、チャンピオンに“なった”というか“任される”って意味が強い気がするんです、M-1は。審査員の方がM-1のチャンピオンを任せてくださったという感じ。チャンピオン取ってそれが終わりじゃない。M-1ってそこから先のためにやってるようなところもある。そういう意味では、やり切ってはいたんじゃないかなと思います。