芸人エハラマサヒロ「人間は死ねないんだな」―過去を乗りこえ、たどり着いた家族観
芸人として活動しながら、2019年からYouTubeチャンネル「エハラ家チャンネル」を続けるエハラマサヒロさん。妻や4人の子どもとの日常の配信が子育て世代から共感を呼び、チャンネル登録者26万人超(2021年6月現在)の人気を得ている。だが、今の幸せな家庭を築くまでには、う余曲折があった。若さゆえの破天荒な振る舞い、そして、自殺未遂を起こした10代の出来事…。さまざまな体験を経て、「今が一番最高」だと語るエハラさんに、これまでの道のりと家族円満の秘訣について話を聞いた。(Yahoo!ニュース Voice)
エハラ家が円満である理由
「エハラ家チャンネル」を通して、夫婦円満で楽しそうな家族の様子が伝わってくるエハラ家。動画にも頻繁に出演する奥さんは、現在5人目の出産も控えているとのこと。友人からも「仲が良すぎる」といぶかしがられることもあるという。 ――奥さんとけんかすることは? それが、妻と出会ってから1回もけんかしたことがないんですよ。周りには「異常だ」とか「仲良しアピールだ」とか言われますが、僕もこれまで付き合った人でケンカしなかった相手はいませんでしたから、自分でも変なんだろうなと思っています(笑) これは、本当に彼女がすごいから、ということにつきるんです。特に昔の僕は「芸人だから破天荒に生きていろいろなエピソードを作らないといけない!」という固定概念に縛られていた部分もあり、結婚後もひどかったと思います。給料もそんなにないのに何十万円もする時計を深夜にノリで買ってくるとか「夜9時に帰る」って連絡したのに、酔いつぶれて朝までろくに連絡もせず家に帰らないとか。でも彼女は一度も怒らなかった。時計のときも「そういうの(ノリ)だと思った、お仕事がんばってね!」で終わり。怒られるより効きましたね。立場が逆やったら絶対キレてしまうであろうことをしでかしているのに、怒られなかった。申し訳なさがすごくて、勝手に借りをひとつ作った気持ちになりました。 「怒らない」という彼女の姿は、僕の子どもたちへの姿勢にも影響を与えていると思います。子どもがうそをつくのは、怒られるのが嫌だから。この人には正直に話しても怒られないと思っていたら全部言えると思うんです。もともと自分の中に「うそは嫌だ」という芯があって奥さんにも正直に話すタイプなのですが、それは彼女が怒らずに聞いてくれるからかもしれません。もちろん子どもたちにダメな事を教えるために「叱る」という事はしますが、親のエゴで「怒る」ということは極力しないようにして、うそをつかない子になってくれればなと思っています。 うそといえば、自分にとって昔の芸能界はうそをつかないとやっていけない場所だと思っていたんですよ。でもSNSで皆さんに発信力がついたことにより、芸能人もうそを貫き通すことが難しくなり、芸能界も正直な人しか生き残れない世界に変わってきたように思います。うそをつかない、信用ある人にファンがついてくれるようになってきた今の時代が、自分には合っているのかなと思いますね。