会員5.2万人が使う冷凍パンのサブスク「パンスク」とは? 全国のパン屋と作るビジネスモデル、人気の秘訣をパンフォーユーの社長に聞く
これまでに一定の反響があり、カフェへの卸販売は追加注文が入るなど好評だ。ECではプロモーション施策として現地の著名人を採用したライブコマースを実施したところ、10分間の中継で100箱以上の注文が入った。現地に住む日本人が購入するケースもあるが、それ以上に地元の人の購入割合が高い。
「パンスク」の海外展開の課題は、国内ほど冷凍文化が進んでいないため、物流の構築やパートナーの選定に難しさがあること。一方で、日本の食品がすでにグローバルで流通していることを踏まえると、日本から距離がある国での販売も不可能ではないと考えている。「他国への展開はシンガポールでの様子を見ながら進めていきます」(矢野氏)
好みのパンを選べる商品ラインアップを見込む
国内ではこれまで、「パンスクギフト」を除き、「パンスク」注文時は顧客がパン屋やパンを指定できないスタイルとしてきたが、今後は「好みを選べる」という選択肢を増やしていく計画だ。 単品注文だけでなく、定期購入の場合でも個々の好みを反映してパンをセレクトする「パーソナライズ機能」の導入も検討している。
┌────────── これまではランダムにこだわってきました。個々のお客さまの好みを先に反映してしまうと「まだ知らないパンの世界を体験する」というコンセプトから反れてしまうという思いがあったからです。ですが、「好みのパンを選びたい」というニーズもありますので、近いうちにその選択肢も取り入れていくつもりです。(矢野氏) └──────────
好みを選ぶための一つの施策として8月20日に開始したのが、「ふるさと納税」での「パンスク」の取り扱いだ。合計6自治体の取り扱いで、価格は1万2000円、または1万5000円。各店の人気パン8点、または9点の詰め合わせとなる。 消費者にとっては、寄付という形で自治体に貢献しながら好みのパンや食べてみたいパンを選べる点がメリットと言える。一方、自治体にとってはまちの新たなイメージづくりにつながる点、提携パン屋にとっては地域貢献や販路の開拓となる点がポジティブに働く。 「新たなパンに出会う」と「好みのパンを気軽に買える」の両者の需要を満たすことで、パン好きの人にとって「パンスク」はより体験価値が高いサービスになりそうだ。