5月の「0.5%」は確定的、今後の利上げはかなりのハイペースに? 3月FOMC議事録
3月のドットチャートは1カ月で「古い情報」に
利上げについては、3月FOMCで示されたドットチャートによれば、2022年末のFF金利上限の中央値は一回当たりの利上げ幅が0.25%とした場合、7回の利上げを示唆する2.0%でした。ただし全16人のうち7人の参加者は8回以上の利上げ計画を示しており、3月時点で「多くの参加者」が0.5%ポイントの利上げを想定していたのも事実です。 FOMCを通過した後、パウエル議長を含む複数のFRB高官が0.5%ポイントの利上げに言及し、それに伴い、金融市場参加者が織り込む利上げ回数が8~9回(0.25%ポイント換算)に上方シフトしたことを踏まえれば、次回5月FOMCでは0.5%ポイントの利上げが確実視されます。3月のドットチャートは1月も経過しないうちに「古い」情報に成り下がった形です。
米長期金利は上昇、株価は下落という反応
市場参加者に注目されていたQTについては、その金額・手法ともに大方の予想通りの内容が示されました。FOMC参加者は、FRBの分析スタッフ(いわゆる事務方)が作成したバランスシート削減計画を「基本的に賛成」しました。 内容は、国債を毎月最大600億ドル、MBS(住宅ローン債券)を同350億ドル、これら合計950億ドルをFRBのバランスシートから落としていくもので、この規模については市場関係者が事前に想定した範囲内だったと思われます。また削減額の最大値が950億ドルに達するまで3カ月(かそれ以上)の準備期間を設けるとの方針も示されました。 こうした金融引き締め計画を受けて4月6日の米国市場は長期金利上昇・株価下落という教科書通りの反応となりました。当面、世界の株式市場はFRBの金融引き締めを警戒する動きが続きそうです。
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