日本車は中国車に勝てるのか? BYDだけじゃない! 東南アジアでシェア拡大を狙う中国企業の強かさ。
中国車の脅威は価格競争だけじゃない!
こうした状況に日本車メーカーはどう考えているのか。BIMS2024の会場でスタッフに聞いてみると「補助金効果で30%程度までEVは伸びていくが、それでも当面はまだ主流になることない」との見方が支配的だ。というのも、EVのリセールバリューはハイブリッド車に比べて大幅に安いことや、充電インフラの整備もまだ十分でないからだ。 とはいえ、タイが東南アジアでEVがもっとも普及している国であるのは確かだ。今でこそ販売が急減してはいるが、いずれ本格的な電動化の波はやってくる。日本メーカーとしてもEVへの需要に本気で応じざるを得ない時が、必ず訪れるだろう。その時、何よりも怖いのは価格競争によって力を付けた中国メーカーが、その実力で日本車を大きく上回る状況になってはいないかということだ。 モーターショー事務局長のジャトロン・コモリミス氏は、「若い世代は中国車の目立つデザインが好みのようだ。加えて、かつては400~500万バーツを出さないと得られなかった加速感がEVなら200万バーツ以下で手に入れられる。これがEVが急速に売れる要因ともなっている」と話す。つまり、若い世代を中心にEVに魅力を感じる人が着実に増えているといのだ。 実際、かつて中国車は“丸パクリ”と揶揄された時代もあったが、今やタイで販売されている中国車の品質は日本車と比べても遜色ないどころか、グレードによっては日本車を上回るレベルにまで達している。これまでのように日本車が東南アジアで存在感を発揮できていけるかは、EVへの対応が重要なカギになることは間違いなさそうだ。
文・写真= 会田 肇