なぜJFL鈴鹿所属”キングカズ”「まさかの」10.9新国立凱旋試合が実現するのか…クリアソン新宿が主催の舞台裏
丸山代表もJFLを通じて、JFL参入初年度で実現させた国立競技場での一戦へ、ワクワク感があふれ出てくるようなコメントを発表している。 「これもひとえに、国立競技場関係者の皆様、東京都サッカー協会、新宿区をはじめとする関係各位のご協力の賜物と存じます。多様性の象徴である新宿で、新宿と、クリアソン新宿、そして今回の対戦相手である鈴鹿ポイントゲッターズに関わるステークホルダーの皆様が、サッカーをきっかけとして、ポジティブに協調・共創し、多様な価値観がつながり豊かさを感じられる、そんな歴史的な一日にしてまいります」 鈴鹿戦の後援には新宿区、東京商工会議所新宿支部、新宿観光振興協会、新宿区体育協会、新宿区サッカー協会がすでに名を連ねている。文字通りの“オール新宿”として熱意を結集させ、国立競技場を運営する日本スポーツ振興センター側と交渉を重ね、公式戦の実現にこぎ着けた跡が後援の顔ぶれからも伝わってくる。 新宿区をホームタウンとするクラブが、新宿区の国立競技場で試合ができる価値は、丸山代表のツイッター(@criacaomaru)のタイムラインからもわかる。丸山代表がリツイートした、スタッフのものと見られるつぶやきにはこう綴られていた。 「シンプルにめっちゃくちゃ嬉しいし、決まった時には涙が出た」 現実に目を向ければ、避けては通れないハードルもある。1試合あたり1500万円とされる国立競技場の使用料をペイするには、3月の開幕からホーム、アウェイを問わずに群を抜く存在感と集客力を見せているカズのカリスマ性を抜きには語れない。 JFLの桑原勝義理事長も、国立競技場とカズとの相乗効果に期待を寄せた。 「三浦知良選手の加入もあり今季のリーグ戦で多くの入場者が来場し、メディアにも多く取り上げられている鈴鹿ポイントゲッターズが対戦相手ということで、サッカーファンのみならず多くの方に注目されることでしょう」 新宿の選手たちのツイッターも、国立競技場で憧れのキングカズと対峙できる喜びであふれ返っている。そして、ヴェルディ川崎と横浜FCで計20ゴール、日本代表として29ゴールとともに国立競技場における歴代最多の数字をマークしているカズも、前出のコメント内でこう続けた。 「日本代表のときもそうでしたが、ずっと戦ってきたスタジアムですし、またそのピッチに立てるチャンスを与えてくださった皆さんに感謝したいです。本当に楽しみにしています。ぜひ、6万人来てもらいたいですね(笑)」 くしくも前日15日は、旧国立競技場に5万9626人を集め、ヴェルディのキャプテンだったカズもフル出場した伝説の開幕戦が29年前に行われた「Jリーグの日」だった。一夜明けて発表された歴史的な一戦へ、桑原理事長はJFLの歴代最多入場者数、2008年11月30日の栃木SC対FC刈谷の1万3821人を大幅に超えてほしいと願いを託している。 (文責・藤江直人/スポーツライター)