BMWがピアニスト反田恭平氏とタッグ。世界的メーカーの顧客ロイヤルティ獲得戦略とは
「どんな場面においても、ブレないメッセージを発信すること。“駆けぬける歓び”というキャッチコピーを伝え続けるというよりも、その“駆けぬける歓び”を感じ取れるビジュアルや世界観づくりが大切です。万人受けを狙い、選ばれるために姿形を変えるのではなく、すでにBMWを好きと言ってくれる人たちの琴線に触れるコミュニケーションが重要だと思います。そのブレない姿勢に共鳴してくれる人たちが、新たにファンになってくれたら嬉しいです」
顧客のロイヤルティ化は一日にしてならず――。ビジネスの場では目先の数字に捉われて効率を優先し、最短距離での成果を求めがちだが、ファン心理を醸成するには時間を要する。BMWは、長い歴史の中で培われてきたブランド力に奢ることなく、“駆けぬける歓び”というアイデンティティを守りながら挑戦し続けているようだ。
取材・文:安海まりこ
安海まりこ