BMWがピアニスト反田恭平氏とタッグ。世界的メーカーの顧客ロイヤルティ獲得戦略とは
実際にクルマに触れて顧客獲得につなげる意味では、今回のJNOへの特別協賛は、成功事例の一つといえる施策だ。ほかにもBMWの世界を体感できる施策として『BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ』も開催されている。ゴルフ場内にVIP向けの特設会場をつくり、BMWのラグジュアリーなホスピタリティを体感してもらっているという。
また、BMW 1シリーズの限定車「Fashionista」の発売を記念し、女性ファッション誌『エル・ジャポン』とコラボ。八ヶ岳への宿泊が当たるキャンペーンや、購入者特典としてクリスチャン ルブタンの限定バッグとチャームを贈呈するなど、女性向けの施策も展開中だ。
これらの施策は費用も手間もかかるため頻繁に開催することは難しいだろう。しかし、BMWたる世界観を体感してもらうことは、新規顧客の獲得だけでなく、既存のファンにも「やはりBMWの世界は素晴らしい!」と再認識させることができ、顧客ロイヤルティ化につながる。
そして、今夏には麻布台ヒルズにBMWのラグジュアリーな世界観が体感できる、常設ブランド・ストア『FREUDE by BMW』のオープンを予定。同ストアは、BMWがもたらす歓び(FREUDE=歓び)を創出できる大人の社交場またはコミュニティの場として位置づけ。洗練された空間の中でBMWブランドの魅力を様々なかたちで体感することにより、ブランドをより身近に感じてもらうことを目的としている。このブランド・ストアには、BMWの最新ラグジュアリーモデルが展示されるほか、BMWの世界観と合ったアートの展示やリテール・グッズの販売、カフェ・バー、レストランなども併設するという。
好きと言ってくれる人たちの琴線に触れるコミュニケーション
自動車メーカーは乱立し、車種もたくさんある。そして、店舗・テレビ・紙媒体・ウェブメディア・SNSなどブランドへの接触方法も多様化する時代において、必要とされるマーケティングとはどのようなものなのだろうか。井上氏は「難しい問題だ」としながらも、これまでに大切にしてきた思いのなかに答えを見出している。