BMWがピアニスト反田恭平氏とタッグ。世界的メーカーの顧客ロイヤルティ獲得戦略とは
BMWの国内におけるマーケティング活動の中で比重が大きいのは、今回の特別協賛の目的でもある新規顧客開拓だ。一口に富裕層向けといっても、クルマの価格は400万円台~2,000万円を超えるものまで幅広くラインナップしており、アプローチ先も異なる。こうしたなかで、井上氏が大切にしているのは「継続性」である。
「どうしても目先の数字に追われてしまいがちですが、継続性を大切にしたいです。長期的な目線を持たないとブランドは成長しません。100年を超えるBMWのブランド認知度は高いと思いますが、そこからどうシェアを拡大し、コアなファンになってもらうか……。それを達成するには継続的な取り組みが必要だと考えています」
体感ベースで顧客ロイヤルティを醸成
“駆けぬける歓び”を感じさせるBMW。井上氏も「運転したら好きになりますよ」と語っているとおり、走りに魅了されてBMWのファンになる人が多いようだが、そのほかにはどういった点に魅力を感じ、顧客のロイヤルティ化が図られているのだろうか。
ドイツ生まれのメーカーとして質実剛健なイメージもあるBMWだが、ブランド・フレンドに起用された反田氏と同様、「BMWはパイオニア精神に満ち溢れている」と井上氏は語る。それは、さまざまなテクノロジーをいち早く市場に導入している姿勢からも見て取れるだろう。例えば、2014年にはEVを量産車として市場に投入し、業界を先導している。
テクノロジーと共にあり進化が求められる自動車業界において、こうしたBMWのパイオニア精神に魅了されているファンも多いのではないだろうか。
BMWの魅力を感じ、そこからコアなファンに進化してもらうために必要なことは、実際にBMWの世界を体感してもらうことにほかならない。「遠回りしているように思うかもしれませんが、体感ベースの施策の方が効果的だと感じています。CMを流すのとは違い、リーチできる人数には限りがありますが、やはり実際にクルマを見て乗ってもらう場を設けることが重要です」