本田圭佑「1万円払ってサッカー教えます」のツイート波紋と背景とは?
元日本代表のMF本田圭佑(32)の“つぶやき”が、大きな波紋を広げている。本田は5月29日の午後9時すぎに自身のツイッター(@kskgroup2017)にこんなツイートを投稿した。 <僕が10000円払うので、僕にサッカーを教わりたい人っていますか?ただ条件があって本気でワールドカップを優勝したいという人に限り、そして僕が教えたい人を好きに選びます!僕がお金を払って教えます!(原文のまま)> 教えられる側がお金を払うのではなく、教える側がお金を払う。ワールドカップに3度出場した現役選手による前代未聞の提案は瞬く間にツイッター上で話題となり、5月31日午後8時現在でリツイート数は7万8000回を、リプライされたメッセージ数は1万1000件を大きく超えている。 寄せられたメッセージのなかには、実は“冷やかし”的なものも少なくない。それでもJ2のレノファ山口のMF田中パウロ淳一(25)、JFLの鈴鹿アンリミテッドのMF佐藤和馬(29)、あるいは中学卒業後にスペインへ渡ることが決まっている15歳のサッカー少年から、熱い思いも届けられている。 さらには同じ1986年生まれの盟友で、今月のキリンチャレンジカップに臨む森保ジャパンにも招集されている、ガラタサライのDF長友佑都(32)も「これネタじゃないからね。まじガチやから(原文のまま)」と応募。一夜明けた5月30日には本田と同じ条件で、長友からフィジカルトレーニングを教わる希望者をツイッター(@YutoNagatomo5)で募っている。 長友は時期がキリンチャレンジカップ後の6月中旬、場所が今年1月に開業した東京・港区内のプライベートジム、交通費や宿泊費などに関しては「必要に応じて僕が負担します」と続けてツイート。プランの実現化へ向けて、早くも具体的に動き出している。
本田もツイッターのダイレクトメッセージなどでやり取りをしていると見られるが、いずれにしても過去の常識にとらわれない、新たな発想のもとでの試みと言っていい。そして、この「常識」という言葉に対して、本田は常に敏感に反応してきた。かつてはこんな言葉も残したことがある。 「僕は常識という言葉が大嫌いなんですよ。『普通は――』と周囲から言われると、そのたびに『普通って何や』とそれこそ一日中、考えてしまうので」 常識に抗うような生き様は本田の人生、とりわけサッカーにおいて何度も具現化されてきた。記憶に新しい本田のアクションを振り返れば、現役のサッカー選手と実質的なカンボジア代表監督との「二足の草鞋」を履いていることだろうか。 ワールドカップ・ロシア大会後に日本代表からの引退を示唆していた本田は昨年8月に、通算6チーム目となる、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーFCへ移籍した。正式契約を結ぶ直前には、こんな言葉を残している。 「サッカー選手以外にも新しいチャレンジをしようと考えていて、そのチャレンジを理解してくれるクラブと交渉を続けてきた。かなり無理難題を投げさせてもらっているけど、ものすごく理解してくれて前向きに話をさせてもらっています」 このチャレンジこそが、サッカースクールを開校するなど、発展に尽力してきたカンボジアで代表チームを率いることだった。規約では問題がないことをアジアサッカー連盟(AFC)に確認した上で、カンボジアサッカー連盟に自ら打診したことを明かした本田は、こんな言葉を紡いでいる。 「こういった形の契約は、世界のどこを見ても初めてだと思います。普通ではないやり方を受け入れてくれたことに感謝しています」 日本代表で長く背負った「4番」にしても、当初抱かれた違和感を時間の経過とともに自身の象徴に変えた。2年ほど背負ってきた「18番」を、守備系の選手がつけることが多い「4番」に変えたのは、右ひざの故障から復帰した2012年5月。不敵に笑いながら、本田は理由をこう明かしている。 「初めて4番をつけたときに『違和感あるわ』と言われたけど、その違和感は常識にとらわれすぎているからですよ。だからこそ、4番のイメージを払拭したい。今後の日本で2番や3番がエースストライカーの番号になってもいいわけで、そこを僕が変えていければと思っている」