冷暖房なし、工具費は自腹。人の命を預かっているのに――人材不足が深刻化する自動車整備士の窮状
「国が資格ごとの報酬を作るべき」と訴える業界のOBもいる。これまで国内外で20年以上、業界の品質保証、生産管理や労務管理について課題解決の提案をしてきた細原敏之さん(66)。自動車メーカーと間接取引のある部品供給の企業に勤務後、国際システム研究所というコンサルタント会社を立ち上げた。 「介護士や看護師、保育士と同様に、自動車整備士も国がサービスの価格を決めてもいいのではないでしょうか。整備士の質と量の不足は、車を使う人の命に関わります。行政の他にも、ディーラーと町工場が手を組んで業務を分け合い、互いの不得意をカバーするなど、生産性を高めるべきでしょう。一部の地域では、ディーラーが対応できない昔の車を、町工場の整備場に依頼するといった事例もあります。まずはそういった策を考えられるように、日々の業務に余裕を持たせる何かしらの改善が必要です」