アジアのファッションハブへと進化する マカオ 。強い個性が生む新商機【マカオファッションフェスティバル2024レポート】
4. 業界全体の底上げを図る 新たな非営利団体MFDIAの役割
今年で2回目を迎えたのが、MFDIA(Macao Fashion Design Industry Association/マカオファッションデザイン産業協会)による合同ファッションショー「Light of Macao Designers」だ。MFDIAに所属する19名のデザイナーが、メンズ・レディースウェア、カジュアルウェア、イブニングウェアを含む全75点の作品を披露した。ゲストの招待や運営のすべてを会員デザイナーたちが手がけ、互いの創造力やビジネススキルを高め合う場としても重要な役割を担っている。 MFDIAは、マカオのファッションデザイン業界の交流や活性化を目的に2021年に設立された非営利団体。会員数は順調に増え、現在は約70人が所属している。会長を務めるアロ・ロー氏、理事長を務めるアキナ・レイ氏も現役のデザイナーとして活動している。しかし、MFDIAの活動はデザイナー支援にとどまらない。ファッション産業そのものを支えるプラットフォームになることだという。アキナ・レイ氏は、「教育、セールス、バイイングなどファッション産業にかかわるすべての人々を繋ぎ、業界全体の底上げを図る」ことを目的としているという。 Salut, ça va?のデザイナー、アキナ・レイ氏。現在はMFDIA理事長としての仕事に奔走する毎日だというが、MFFではキッズモデルたちのためのコレクションを製作した。 また、MFDIAは、マカオ外部のリソースも積極的に取り入れており、中国や台湾から招聘したゲストによるセミナーなどを通してデザイナーの知識向上を図るほか、国際市場へ向けたマカオファッションの訴求力強化にも取り組んでいる。企業とデザイナーのビジネスマッチングもそのひとつだ。 合同ショーの「Light of Macao Designers」について、「まさにデザイナーたちに光を当てるイベントだ」と話すレイ氏。「ブランドを持たないデザイナーも参加可能だ。外の世界に目を向け、デザイナーとして成長を続けられる環境を提供したい大切なのは、中国での展示会やイベントに参加するなど、外の世界に目を向けること。人に会うことで発見が生まれ、それがマカオのファッション産業の継続や発展に繋がると考えている」と次世代育成への意欲を示す。今後はインターンシップ制度の導入も視野に入れているという。 合同ショーの「Light of Macao Designers」で、NO.42のデザイナーであるヴィーナス・トウ氏とオフィリア・ヴォン氏は、ella épelerデザイナーのエラ・レイ氏とタッグを組んだ。互いの作品を組み合わせ、新たなスタイリングを生み出す作業はとても刺激的だったという。MFDIAの活動自体も「新しい発想が生まれる好機となっている」(トウ氏)。(Image via CPTTM) 【関連記事】 マカオのデザイナーが一堂に集う「マカオファッションフェスティバル2024」10月開催。総勢100ブランドがビジネスチャンスを狙う 取材・文・撮影/戸田美子
戸田美子