J2開幕戦。問題解消のFC町田が悲願J1昇格への第一歩刻む
約3ヵ月におよんだシーズンオフが明け、24日のJ2開幕戦を迎えたFC町田ゼルビアのホーム、町田市立陸上競技場を取り巻く光景が一変していた。 バックスタンドの後方に深々と生い茂っていた樹木の一部が伐採・撤去され、跡地にスタンバイしている2台の重機がスタジアムのどこからでも見える。現在の約1万人からJ1基準となる1万5000人以上の入場可能数へ増席するための造成工事が、いよいよ本格的に開始されていた。 優勝の可能性を残しながら最終節を迎えた昨シーズンは、ホームで東京ヴェルディと1-1で引き分けたために4位で終えた。しかし、リーグ戦後に行われたJ1参入プレーオフにゼルビアは出場していない。J1を戦うために必要なJ1クラブライセンスを、交付されていなかったからだ。 基準を満たさなかった項目は2点。入場可能数に関しては町田市の主導で、2021シーズンの開幕直前に竣工する工程がすでに定められている。もうひとつの天然芝あるいはハイブリッド芝のピッチを1面以上有する専用練習場とクラブハウスの建設も、この半年間で飛躍的に前進した。 昨年10月にゼルビアのオーナーとなったIT大手、株式会社サイバーエージェント(本社・東京都渋谷区)の藤田晋代表取締役社長(45)は、クラブマターでもある専用練習場とクラブハウスに関して町田市内でめどが立ったと、昨シーズンの最終節後に明かしている。 「私たちが経営に参画する前から準備されていた場所でもあるので、残されているのが資金面の問題だけであれば、クリアできるということです」 さらにJリーグ側も昨年12月の理事会で、Jリーグクラブライセンス制度の一部に関して、一定の条件下で緩和することを承認した。例外規定のひとつとして、こう定められている。 「着工しており、3年以内に完成可能であれば上位ライセンスを取得可能」(原文のまま) ゼルビアを長く悩ませてきたハード面の懸案事項は、実質的に解消されたことになる。つまり、ピッチ上における成績を満たせば、来シーズンから悲願のJ1で戦うことができる。そして、夢を成就させる第一歩が、再びヴェルディと対峙した開幕戦だった。