松山ケンイチさん・染谷将太さん主演「聖☆おにいさん THE MOVIE ~ホーリーメンVS悪魔軍団~」 聖人のユルく愛おしい戦い
アドリブ長回しは「宇宙旅行の感覚」
――佐藤さん演じる「戦いの仙人」との長回しシーンでは、途中から「これはアドリブなのか、脚本内のことなのか」と想像しながら楽しく拝見しました。 松山:僕はあのシーンの記憶がないんですよ。「佐藤二朗の宇宙旅行」に一緒に連れていってもらった感じで、時空が歪みまくっているんです。撮影時間は10分~15分くらいだったと思うけど、段取りもなかったし、重力なのか引力なのかよくわからない、いろいろな力に耐えていたので後になって体が痛かったですが、間違いなく注力したシーンですね。 染谷:僕はあのシーンを着地させなきゃいけない役割だったんです。なので、台本には決まっているセリフがあって、ある程度経ったらそこに戻すという役割をもらっていたので、がんばって何回かトライしたんですけど、全然着地できませんでした。 松山:その宇宙旅行で思ったのは、やっぱりこういう時に人間が出るということでした。いろいろ振り返ると反省することがあって「これが自分なんだ」と思わされたというか。それは今までやってきた本番の中で感じたことがないものでした。 染谷:あそこのシーンを着地させるセリフは僕じゃなくて、二朗さんでした! 二朗さんが終わらせたくて着地させる言葉をちゃんと言っているのに、我々が続けていたんですよ。それで二朗さんが「おいっ、お前ら!」みたいになっているのもそのまま使っているので、そこも楽しんでいただけたら幸いです。
お互いの愛おしい部分を例えると
――イエスとブッダの会話のユルさや平凡な日常を愛おしく感じますが、お互いに「人」として愛おしいと思うところをそれぞれ教えてください。 松山:染谷くんって目が印象的で魅力的だなと思うのですが、先日、同じような目を見つけたんです。草みたいなもので亀の目をつつく悪さをしている人がいて、やられた亀が手で目のあたりをぬぐうようにしていて。僕はそれ見て、申し訳ないけど「めっちゃかわいいな」って思ったんです。きっと染谷くんに同じことをやっても「やめろや~」っておっとりした感じで言ってくれるような気がしたんですよね。それに亀って、見方によっては狂気的にみえる目でもあるけど、その時のような穏やかで聖なる目の持ち主なところが愛おしいなと思います。 染谷:亀の目は初めて言われたので新鮮です(笑)。僕から見た松山さんは、柔軟性があってとても自然に気を遣ってくれる方なので、一緒にいてもすごく居心地がいいんですよね。そんな自然体な人が、お芝居になると、それこそ狂気的になったり柔らかい人になったりするのですごいなと思います。基本的に自分が松山さんとお会いするときは「イエス」と「ブッダ」なので、他の作品でお見かけすると「知らない人がいる」と思うんですよ。普段の松山さんとの乖離感が半端ないです。 そんな松山さんを何かに例えるなら「本物よりも俊敏なナマケモノ」ですかね。全然スローペースではないのですが、穏やかさがあって堂々としているし、人に癒しも与えてくれるんです。 松山:ナマケモノって言うかなと思っていたら、本当にそう言ったからびっくりした! 自分でもそう思うので、ぴったりだなと思います。