【心理カウンセラー・中元日芽香(元乃木坂46)】"おひとりさま"と"ぼっち"の違いとは?
「ひとり時間」を、「ひとり反省会」にしないように注意して
今思うと、この「ひとり時間」は、いい1日を静かに振り返る贅沢な時間でした。みんなで演じる喜びを自分の中で反芻することもありました。これから自分がどうしたい?と問いかけることもありました。そうした習慣は今でも続いていて、自分を仕事や社会とをつなぐ、大切なハブ地点のようになっています。もしかしたら、これが「ひとり反省会」だったら…結果は違っていたかもしれません。 「家でひとり反省会して悩んでしまう」――カウンセリングで何度か相談を受けたことがあります。「みんなでお茶をして、その時は楽しかったけれど、あの人にあのとき自分がかけた言葉、間違っていたかもしれない」「チームでやった仕事、自分があのとき足を引っ張ってしまったかもしれない」などなど。ひとりの時間で悩み始めると、ひとりだけの中で心配事が大きく育ってしまうことがあるようです。 そんなとき、私はこう思います「反省会は、ひとりでしないほうがいい」と。「間違った言葉をかけてしまったかも」と思った相手が友人なら、ぽろっと「あのときの言葉、私、間違ってた?」と聞いてみては? 自問自答するよりもずっとダイレクトな回答をくれるはずです。「全然気にすることないじゃん!」でも「間違っていたと思うから、こうしてほしいな」でも、きっと前に進む答えが見つかるはず。 反省はひとりきりで終わらせない。逆にひとりのときは、よかったこと、うれしかったことを余韻として味わうような、自分を労わる時間にする。おひとりさまを楽しんでいる人は、その辺が上手なのかもしれないですね。 ■「おひとりさま」と「ひとりぼっち」、どちらを選ぶかは自分次第 仲間と一緒にいても「ひとりぼっちだ」と孤独を感じる人、ひとりで推し活をしていても、推しとも推し仲間とも心地いい距離感を感じている人。同じソロ活でも全然違いますよね。「おひとりさまが楽しい」「ひとりぼっちで寂しい」だったら前者を選びたい。私は、みんなといても、ひとりでも、現場にいても、画面越しでも…自分が好きなことに能動的に参加していると感じられる人は、幸せだし強いと思います。逆に、「ファンのチームの輪を乱さないように」とか「この人に負けたくない」という競争心を感じてしまうとき、「ひとりぼっち」感が強くなってしまうのでは。 私自身「ずっとみんなと一緒にいたい!」と感じたように、グループって、実際すごく喜びが多いし、居心地がいいんですよね。ただ、そこからいつか出ていくこともきっと考えなければいけない。「自分がひとりになってもやりたいことってなんだろう?」「何を大事に生きていきたいかな?」と考えておくことで、その後の人生で、大きく迷子になることってないのだろうと実感します。そういう考えに至ったのはやっぱり「ひとり時間」があったからです。 自分にとって何が大事で、何をしたら楽しいか? 自分ひとりの気持ちを大事にできていればきっと、誰かが大事にしていることも守ることができるはず。そんなひとりひとりが集まった「推し活」って、きっと幸せ。それこそがヘルシーな心境なのではないかな、そんなふうに思うのです。 心理カウンセラー&メンタルトレーナー 中元日芽香 1996年4月13日生まれ、広島県出身。2011年からアイドルグループ・乃木坂46のメンバーとして活動し、2017年に卒業。早稲田大学で認知行動療法やカウンセリング学などを学び、2018年にカウンセリングサロン「モニカと私」を開設。心理カウンセラーとして活動を始め、今に至る。著書に『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』『なんでも聴くよ。中元日芽香のお悩みカウンセリングルーム』(共に文藝春秋)。現在、ポッドキャストサイトPodcastQRにて、パーソナリティを務める『中元日芽香の「な」』を配信中。 トップス¥18150・インに着たトップス¥24200・スカート¥25850/ススプレス(オウシーナン) 帽子¥19800/タイオン(タイオン エクストラ) リング¥3300/ソムニウム 靴/スタイリスト私物 撮影/森川英里 ヘア&メイク/上野祐実 スタイリスト/高野麻子 画像デザイン/齋藤春香 取材・文/久保田梓美 企画・構成/木村美紀(yoi)