アート×スチームサウナ!? 栗林隆の《元気炉》が栃木県・大谷石採石場の地下空間に出現。
薬草のスチームを浴びて体験者が元気になれる、栗林隆の作品《元気炉》プロジェクトの最新作が栃木県・大谷で稼働中です! 【フォトギャラリーを見る】 栃木県の大谷石採石場跡地に出現した巨木のような作品。現代美術家・栗林隆による体験型アート《元気炉》の最新作だ。《元気炉》という名称、また“体験型”と謳われているのには明確な理由がある。じつはその奥には、薬草やハーブの蒸気が充満した空間があり、訪れた人はそこでスチームサウナのような体験をし、文字通り“元気”になることができるのだ。 20代の頃、タイで出会ったスチームサウナに魅了され、ずっと作品に使えないかと考えてきたという栗林。実際にこの作品を手がけ始めたのは、原発事故以降、長年通ってきた福島の人々との交流も影響している。 「現地の人にすごく元気をもらったんです。別にこの作品には原発を肯定しようとも反対しようともしていません。スチームで動く原発の原理を転用し、ポジティブで人が元気になる作品に昇華できないか――そう考えてできたのが《元気炉》です」
栗林はこの《元気炉》を日本各地の展覧会、またドイツで開かれる現代美術の祭典『ドクメンタ』でも発表してきた。ちなみに今春、この新作が誕生する前にもここ大谷で《元気炉》を披露したこともある。改めて大谷に新作を設置したのは、「前作が撤去される際に、地域の人など様々な人から作品を残してほしいという要望があって。ただ作品なので新しい場所に単純に移設してもうまくハマらず。ならばその場所に合わせ、新たに作ってしまおうと」 制作のために3ヶ月ほど現地滞在。そこで栗林が着想を得たのは、周辺に放置されていた巨大な大谷石だった。 「1×2×2メートルほどの巨石が、何十年も使われずに置かれていて、それを使ってみようと」。残念ながら撮影不可のエリアだが、木のファサードの裏側には、その巨石、また同サイズのコンテナ風のスチーム部屋が積み上げられており、今までの《元気炉》とは趣の異なる空間になっている。