競技歴4年で代表入り、海外4年目で最高峰リーグへ。ハンドボール・吉田守一の原動力とは
激しい肉弾戦、スピード感あふれるスキルフルなパスワーク、時速100km近いスピードで放たれるシュート。4月上旬に都内で行われたハンドボール男子日本代表の合宿には、70人以上の報道陣が詰めかけ、7月に控えたパリ五輪に向けて注目度の高さが窺えた。その“彗星JAPAN”で、守備の要として存在感を放っていたのが23歳の若きピボット・吉田守一だ。193センチ、106キロの屈強なフィジカルで相手を圧倒するプレーは迫力満点。そのキャリアは異色だ。高校1年生で競技を始めてから4年でフル代表に招集され、18歳の時にポーランド1部への海外挑戦を表明。今季はフランスのダンケルクで、さらに存在感を増している。そのキャリアとステップアップの原動力に迫った。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=©JHA/Yukihito Taguchi)
両親譲りの恵まれたフィジカル。小学生の頃には空手で全国優勝も
――練習を間近で見ると、一つ一つのプレーに圧倒されますね。吉田選手は193センチの長身で存在感が際立ちますが、一番の強みはどんなところですか? 吉田:フィジカルの強さには自信があるので、体を使って相手をブロックして味方のスペースを作り、自ら得点に絡むプレーです。ディフェンスではチームの要として、中央で指示をしながら守ることが自分の武器です。 ――体の大きさは、遺伝もあるのでしょうか? 吉田:そうですね。両親が大きくて、父が185cm、母が172cmあるので、感謝しています。 ――小学生時代は空手で全国大会優勝経験もあるそうですね。中学ではバスケ部に所属されていたそうですが、高校からハンドボールに転向した理由はなんだったのですか? 吉田:一番の理由は、全国大会で優勝したかったからです。小さい頃から負けず嫌いでしたし、スポーツは結果がすべてだと思っています。それはどのスポーツをやっていても同じですが、高校に進学するときに、ハンドボールの強い中学から選手が何人か来ることが分かったので、ハンドボール部に入れば全国大会に出られそうだなと思ったんです。 ――空手やバスケの経験が、ハンドボールに生きている部分もありますか? 吉田:空手は腰を使ってパンチとかキックをするので、体の使い方はハンドボールでも生きていますね。バスケはポジションがセンターだったので、ピボットプレー(※編集部注:片足を軸足として固定し、もう片方の足を動かすステップ)に関連性があって、ターンの技術も生きています。