日銀・黒田総裁会見9月22日(全文3完)みずほ銀行のシステム障害は大変遺憾
異次元緩和は出口戦略がないという指摘は正しいか
朝日新聞:朝日新聞の原です。先ほどの共同声明の質問にも関わる話なんですけれども、最近、安倍前首相が講演会でこんなことを言ってます。コロナ対策では政府・日銀連合軍でやっているので、政府が発行する国債は日本銀行がほぼ全部、買い取ってくれていると。日本銀行というのは言ってみれば政府の子会社の関係なので、連結決算上、実はこれは政府の債務にもならないというふうに安倍さんは言っていて。 一方できのう、立憲民主党がアベノミクス検証委員会で、日銀の異次元緩和は出口戦略がなく、どうやってテーパリング、ソフトランディングをさせるのか、見通しがまったく立っていないという指摘をしています。 これ、誰が言ったとかどの党が提言したとかっていうのは関係なく、この見方っていうのは両側から存在して論者がいるわけですけれども。この両方の見立てはどちらが正しいのか、あるいはどちらも間違ってるのか、総裁はどういうふうにお考えでしょうか。 黒田:私、政治家の方の発言についてコメントするつもりはありませんが、日本銀行の金融政策はあくまでも日本銀行法に定められている物価の安定と金融の安定ということを目指して行ってるわけであります。従いまして何か政府の、なんて言うんでしょうか、財政というか借金を助けるとかいうことでやってるわけでもありませんし、他方で現在行っているイールドカーブ・コントロールの下で金利を低位に置いてるということは、政府が財政政策という観点から支出を拡大するといった場合に金利が上がるということが防がれるわけですので、そういう意味では財政政策と金融政策の協調というかポリシーミックスが行われてるっていうことは事実だと思いますけども、何度も申し上げますが、日本銀行の金融政策はあくまでも物価の安定と金融の安定を目指している。で、それに尽きると思います。
政策修正後の動きをどう見ているのか
日本経済新聞:日経新聞の【シミズ 01:01:33】と申します。よろしくお願いいたします。日銀が3月に政策を点検して、その後、ETFの購入のやり方を大きく見直してからほぼ半年になりますが、この半年間、日銀がETFを買ったのは2回、合計約1400億円にとどまってるものと理解しておりますが、その間の株価の動きを見ますと、日経平均株価で見ますと、いったん2万7000割り込む局面もありましたが、その後3万円近くまで回復するなど、こういった動きを見ると、見ようによっては日銀がそれほど買わなくても株価というのは自律的に反発するものだというふうにも見えなくもないですが、一方で日銀がいざとなれば年間12兆円を上限に買うといってることがセーフティネットとして安心感を呼んでるという見方もあるかと思います。 この政策修正をした半年間の株価およびリスクプレミアムの動きについて、日銀が大きく手を引く中でどういう動きをしたのか、どのようにご覧になってるか、ご所見をお聞かせください。 黒田:これは点検を踏まえてETFの買い入れについて述べたことに尽きると思いますけども。要するにETFの買い入れについては3月の点検が示したように、市況が大きく変動した場合に大規模にETF買い入れを行うということが効果的であるという分析結果を確認したわけでして、それ以降はこうした点検の結果を踏まえて従来以上にめりはりをつけて実施してるということに尽きると思います。 ETFの買い入れのあり方も、このETF買い入れっていうのはこの現在の大規模な金融緩和の一環ですから、これだけを取り出して何か違ったことを考えるっていうことはないわけでして、あくまでも将来、金融政策の目標が達成される、あるいは達成される状況が近づいているということで、金融政策の出口を議論するという段階になれば当然、その一環としてETFの買い入れについても出口は検討されると思いますけども、現時点ではそういった状況にないわけですので、あくまでも12兆円の上限の範囲内で必要に応じてめりはりをつけて買い入れていくと、で、それはリスクプレミアムが大きく拡大して日本市場の機能が損なわれることのないようにするという効果はあるというふうに考えています。 朝日新聞:では、以上で記者会見を終わります。ありがとうございました。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見9月22日