帰還中のはやぶさ2は今 JAXA会見(全文1)第1期のイオンエンジン運転終了
各地にプロジェクトメンバーを派遣
吉川:では13ページ、アウトリーチなんですが、これは「はやぶさ2」の小惑星近傍運用でたくさんの科学的なデータを取りましたし、工学的にもいろんな運用ができましたので、これを皆さんに知っていただくということで、これはいろんな、各地方の科学館などとタイアップして、講演会を行うと。そこに「はやぶさ2」のプロジェクトメンバーを派遣するということを始めました。期間は1月から9月と、今年の、ということで、今のところ30カ所近いところから申し込みがあるんですが、もうすでに5、6件は行ってるんですが、ちょっと今、新コロナウイルスの件があって、ここは少し慎重に進めようと思っていますけれども、こんな感じでプロジェクトの成果を皆さんに知っていただこうという試みも、今行っているということになります。 次が最後になりますが、14ページで、今後はイオンエンジンの第2期運用、運転というのがありまして、これが5月ぐらいからの予定です。5月から9月ぐらいでしたか。ここで探査機が、この運用が終われば、地球に帰還する軌道になるということになります。あと、次回の記者説明会ですが、これは今のところ4月に予定したいと思っております。 以上ですが、あと参考資料は、これは以前に、前回の記者説明会でお見せした、16ページですね。これは模式図ですけれども、この黄色のところが2回目のイオンエンジンを噴く場所ということで、今1回目が終わったということになります。2回目のイオンエンジン運転が終わったあとは、精密な軌道誘導、ここも非常に重要でして、2回目のイオンエンジンと精密軌道を経て、地球に戻ってこられるということになります。 それから17ページとか、18ページはイオンエンジンについてのご説明を挙げました。あと19ページ、これは新しいページなんですが、スピンオフということで、これはちょっと説明していただいて。
真空中で除電する装置をメーカーとともに製品化
細田:はい。私、今「はやぶさ2」の仕事のほかに、宇宙探査イノベーションハブという、地上と宇宙で両方ともに使える技術をつくるという部署で仕事をしておりますが、その中の仕事の1つとして、「はやぶさ2」で使ったイオンエンジン技術を応用して、真空の中で除電をする装置というのをメーカーさんと組んで、製品化をしました。これはどういうところで使うかというと、高真空を要する製造現場ですね。例えば有機ELですとか、ハイバリアフィルムですとか、そういうフィルムものの製造現場ですとか、こういうところで、実は帯電してしまったものを取る方法が今まであまりなかったということで、それならばイオンエンジン使っているこのプラズマ源は非常に小型で、かつ、あまり高真空を壊さないという特徴がありましたので、ぜひここに使いたいということで、メーカーさんと組んでこういうことをやったということになります。 特に「はやぶさ2」でも、小惑星に今着陸した都合で、帯電した砂が飛んで、カメラの前が曇ったということがありました。ということで、われわれもこういう宇宙での除電、除塵というものは非常に重要視しておりまして、どちらにも使えるということで、一緒にやったということになります。使ったのはイオンエンジンの大きいほうではなくて、小さい中和器ですね。こちらのほう、これ実は小型のプラズマ源になっているんですけども、それを地上用にチューニングして、現在販売を開始しているということになります。これは神奈川、川崎の春日電機さんというメーカーさんと一緒にやっておりまして、こちらはすでに、昨年プレスリリースを出しておりますので、こちらのほうをご参照ください。 吉川:はい。最後は単なる記念写真を載せただけなので、これで以上になります。 【書き起こし】帰還中のはやぶさ2は今 JAXA会見 全文2に続く