帰還中のはやぶさ2は今 JAXA会見(全文1)第1期のイオンエンジン運転終了
イオンエンジン運用の流れ
細田:ではあらためまして、イオンエンジン担当の細田と申します。よろしくお願いします。実は今朝もイオンエンジン運用をやっておりまして、その足でそのままこちらに来ました。では、資料に沿って説明いたします。 今、吉川先生からご説明がありましたが、昨年の11月13日のリュウグウを離脱したあと、イオンエンジンの試運転を経て、地球帰還に向けた第1期のイオンエンジン運転を実施しておりました。そのあと、2月5日までイオンエンジンをずっと噴かして、その後イオンエンジンをいったん停止して、精密軌道推定、どこを今飛んでいるのかというのをしっかり調べたあとで、そのあとちょうどこの2日間ほど、2月18日から20日の間でトリム、これは軌道微修正のことなんですけれども、軌道の微修正を実施して、本日の、今朝の8時1分、日本時間の8時1分、機上時間にイオンエンジンを停止しました。これをもって、第1期のイオンエンジン運用を完了したということになります。 ここまでのイオンエンジンによる動力航行時間、これはイオンエンジンを運転していた時間になりますけれども、これが7396時間。うち、リュウグウを出発したあとの復路の動力航行時間は881時間となります。復路の増速、これは減速方向ですけれども、約100メートル毎秒のデルタVを行いました。第1期、イオンエンジン運転の完了時のキセノン残量は、だいたい60%弱のキセノンが残っていることになります。試運転の内容については、このあとの資料でまた別途説明いたします。次お願いします。
11月20から28の間に試運転
こちらのグラフが、リュウグウ離脱後のイオンエンジンの運転履歴のグラフとなります。横軸がカレンダーの日付となりまして、ひとメモリが1日です。縦軸がイオンエンジンの出している合成推力の平均値となりまして、だいたいステップ状になっているのがお分かりになるかと思います。これは運転台数の切り替えで、だいたい10ミリニュートンぐらい大きく直ります。 まず11月13日、もうはるか昔に感じますけれども、ここでリュウグウを離脱したあと、11月20から28の間に試運転を行いました。その後、12月3日から第1期の運転ですね。最初は3台運転ですけれども、そのあと太陽距離が増加して、太陽電池の発電量が落ちますので、2台運転に計画どおり切り替えて運転しております。この間、線がぎざぎざしていますが、時々小さくぎざぎざしているのが、イオンエンジンが、何か小さく放電して、イオンエンジンが自分自身の安定化のために短時間停止することが、こういうふうに影響として見えるということになります。大きく落ちているところはエンジンを停止して、いろんな運用をしているというのが見て取れると思います。2月3日まで運転したあと、2月4日にまた試運転を短時間行って、2月18から20、まさに今日まで軌道微修正を行ったというグラフになります。次、お願いします。 イオンエンジンに関連する数字はこちらの資料のほうに全てまとめてあります。キセノン残量は、39キロですね。累積の運転時間やプラズマのサイクルなどは、このような数字になっております。これらを表にしたものが右側にあります。「はやぶさ」の初号機のほう、ミッション全体での「はやぶさ」初号機の数字との比較を参考に載せてあります。じゃあ次お願いします。