センバツ“不可解選考”にネット炎上…東海大会準Vの聖隷クリストファーが落選し4強の大垣日大が選出…求められる選考の透明性と明確化
そもそも1924年に名古屋の山本球場で春季の選抜中等学校野球大会としてスタートしたセンバツ大会は、トーナメント方式の夏の甲子園とは異なる“選抜”という独自性を打ち出して創設された。第二次世界大戦中には中断。戦後に大会の再開を目指したが、GHQから「年に2回も全国大会は必要か。夏の大会だけでいいのではないか?」とのクレームが入り、大会廃止の危機に直面した。 だが、主催の毎日新聞社が、選抜はトーナメント方式の夏の大会と違い、招待試合であることを訴えて、再開にこぎつけた経緯がある。夏の大会と違った独自性を遵守する必要があり、単純に成績だけで選ぶことをしないという選考基準が貫かれることになった。2001年から設けられた「21世紀枠」は、そのセンバツの歴史的な意義に沿ったものとも言えるが、現在、求められているのは、選考の透明性と選考基準の明確化だ。 プロ野球出身の高校野球監督の第1号として広島の瀬戸内高校を率いてセンバツ大会に出場したことのある後原富氏(76)は繰り返される“不可解選考”にこんな意見を持つ。 「私は結果で選ぶべきだと思う。誰がどのように戦力分析をしてチーム力を判断したのか。もしデータなのであれば、結果に反するくらいのデータを明確に示さねば誰も納得はいかないだろう。選考委員の主観が入るのには問題がある。東海大会準優勝のチームが選ばれずにベスト4止まりのチームが選ばれて何が教育なのか。高野連は生徒たちが野球を嫌いになるようなことをすべきではない。イレギュラーひとつ、ストライク、ボールの判定ひとつで勝ち負けが決まるのが野球なのだ。過去にも、どうみてもおかしい選考はあった。名門校、強豪校、常勝監督の名前などに忖度したと受け取られてもおかしくない選考があった。センバツ大会が、招待試合であることをどれくらいの選手やファンが認知しているのか。時代も時代なのだから、密室で決めず、すべての基準を明確化すべき。そうなると必然、結果が選考で優先されるだろう」 選考委員長は、「甲子園で勝てる可能性が高いチームを選んだ」とも説明したが、大垣日大のメンバーには必要以上のプレッシャーをかけることになるのかもしれない。 選ばれなかった側が落胆し選ばれた側も素直に喜べない“不可解選考”は悲劇でしかない。繰り返すが、28校の一般枠に関しては、詳しい選考基準の明確化が必要であるし、そうしないのであれば、密室で決めず、選考委員会そのものをYoutubeで配信するなどオープンにすべきだろう。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)