「3割が60歳以上」「子どもには勧めない」 消化器外科医が激減! がん患者が行き場を失う未来も
「際限なくお金が欲しいわけではない」
また、手術支援ロボットによる胃切除などを専門とする名古屋大学医学部の田中千恵准教授は、 「決して、際限なくお金が欲しいと言っているわけではありません」 そう前置きしながらも、 「自分たちの働きぶりを認めてほしい、評価してほしいという気持ちが、今回のアンケート結果には如実に表れていると思います」 一般にどんな職業分野でも専門知識が深いほど、あるいは責任が重いほど給与水準は高い。消化器外科医は専門知識の深さ、責任の重さにおいて突出している上、労働時間も圧倒的に長い。にもかかわらず給与水準は他の科と同じなのだから、不満が噴出するのは無理からぬ話である。 「皆、強い使命感と献身の気持ちはあります。一方で、現在労働力が減って負担が増していることもあって、持続可能な状態とはいえないと思います」 “がん多死時代”を目前に、田中准教授はそう慨嘆する。やりがいを保てるような、待遇の改善こそが急務なのである。 緑 慎也(みどり・しんや) 科学ジャーナリスト。1976年大阪府生まれ。 出版社勤務後にフリーとなり、科学技術などをテーマに取材・執筆活動を行う。著書に『13歳からのサイエンス』(ポプラ新書)、『認知症の新しい常識』(新潮新書)、『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(共著、講談社)など。 「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載
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