なぜ大西葵は”キャディートラブル”について「謝ってほしい」と”炎上覚悟”の発言をしたのか…JLPGAの説明不足で真相は藪の中
今回の問題はJLPGAとは直接何の関係もなく、どちらかといえばトーナメントの品位を損なわれた被害者ともいえなくもない。しかし、隠蔽体質は相変わらずだ。選手らへの配慮で〝沈黙〟しているつもりであれば大きな勘違いといえる。 JLPGAの説明が不十分のため、最初は、前代未聞の職場放棄をした大江氏へのバッシングが起きた。だが、大江氏は「週刊文春」のインタビューに答えて「僕が職務放棄をしたり、キレたりしたと報じられていますが、そんなことはありません。あくまでいつも通りにしていました。仮にこれで処分されるようなことがあれば不本意です」と反論。 次にネット上で18番ホールの動画が拡散し、そこで、大西が発していた言葉や態度が独り歩きして今度は大西が集中砲火を浴びた。 この日は、注意処分となった大西も取材に応じ、「処分は仕方ないと思うし、どうこう言える立場ではない。(帯同キャディーを)連れて行ったのは私。本当に申し訳なく思っています」と頭を下げた。 処分が出た25日には自身のインスタに謝罪文をアップ。インスタのコメント欄には「言い訳をするな」「責任逃れ」との必ずしも好意的ではない声が多く寄せられて炎上。 JLPGAの喧嘩両成敗的な処分の発表で、このトラブルに幕が引かれるはずが、逆に火に油を注ぎ再燃させる形になってしまった。 だが、大西は、インスタに謝罪文をアップした理由について「書いたことが私の気持ちです。この1カ月間自分からは何も発せなかった。こういう事実があったことを伝えたかったので、インスタグラムに書きました」と真っすぐな目で説明した。 大西も騒動の詳細については「あの日からJLPGAさんにすべてをお話ししているので、私が(今ここで)何かを言って話が違っちゃうのは嫌なので、JLPGAさんから聞いてほしいです」と言及を避けた。 拡散している動画は、今回トラブルが起きた17番ホール、18番ホールのすべてを網羅しているものではなく、大西にすれば悪者にされてバッシングの的となったことに納得がいかない思いがあるのだろうが、あえて、そこの説明は、事情聴取を経て処分を下したJLPGAへの配慮を込めて口にしなかった。ここまでJLPGAの説明が不十分だとは思っていなかったのかもしれない。 だが、こう付け加えた。 「もちろん私の責任なんですが、怖い思いをさせて怒鳴ったこととかに関しては、本人から謝ってほしいなとは思っています」 謝ってほしいと訴えたのは、自分に対してのものではなく、同伴競技者らへの謝罪だ。あのトラブル以来、大江氏と話をする機会はないという。その口ぶりからはさらなる炎上も覚悟しているようにも感じた。 「もうこれ以上コメントするべきではない」との声もあるが、謝罪を要求したのは、大西が、ゴルフに向かいあう姿勢と貫く信念からくるものなのだろう。 寺沢副会長は、25日のリリース内容と同様に「舌打ち、大声については大江キャディーも直接会って事情聴取したときに認めている」とはっきりと話したが、それ以上の詳しい説明を避けたため、この大西の “謝罪要求発言“を巡って再びネットやSNSが荒れる事態となっている。 大江氏以外の事情聴取はトラブルから数日で完了していたはずだ。いたずらにJLPGAが、問題の解決を先延ばしにしたことが様々な憶測や大西へのバッシングが起きる遠因にもなった。なのに、この日の説明は、裁判でいえば、主文があって判決理由がない中途半端なものだった。大西は、「結果で恩返ししたいので、切り替えてやっていきたい」と前を向いたが、異例の“トラブル“が、これ以上こじれるようであれば、JLPGAの対応の遅れと説明不足が問題になるだろう。