《「低栄養シニア」が増加》物価高で食費節約、肉・魚を買い控えて持病悪化や感染症罹患の危機
バランスよく食べるための助けとして、新開先生はアプリを利用することも一つの手だと提案。 「スマホアプリの『バランス日記』を試してみてください。このアプリは東京都健康長寿医療センターが日清オイリオグループ(株)と共同で開発したもの。 健康に必要な10食品群は各食物群名の頭の1文字を取り『さあ、にぎやかにいただく』という言葉でまとめています。アプリではタップするだけでこの10食品群のどれをとれたかが記録できるようになっています。いま不足している食品群がひと目でわかる仕組みです」 10食品群のうち1日7点以上と米などの主食を摂取できれば、十分健康を保つことができるという。 「若いときには過食が課題だったと思いますが、シニアになると過剰よりも不足が課題。唐揚げ、焼き肉といった中年世代に控えたかった脂質たっぷりの料理も、避ける必要はありません。脂質もシニアに不足しがちな栄養素だからです」(新開先生) 単身世帯のシニアには“個食”にも注意が必要だ。 「一人になるとどうしても調理を避けがちです。するとインスタント食品に目がいって、気がついたときには低栄養に。ちょっとしたおかずを持ち寄って家で友人と会食したり、たまにはファストフード店などでもいいので、外食も楽しんでください」(新開先生) 話を伺ったのは…… 新開省二先生●女子栄養大学教授。医師・医学博士。愛媛大学医学部助教授(公衆衛生学)を経て、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター)では健康長寿に詳しい医師として地域保健活動も行う。 時岡奈穂子さん●管理栄養士。NPO法人はみんぐ南河内理事長。高齢者や障害者またはその家族に対し、介護保険、障害者支援に関する事業と、市民への栄養や食事に関する啓発活動を行っている。 取材・文/千羽ひとみ